文化で遊ぶ

(旧タイトル:文化の誕生)

No. 98 朝鮮半島情勢、切り間違えたカード

 昨日は朝鮮人民軍創建85周年だった訳ですが、大きな事件は起こりませんでした。それはそれで幸いなことではありますが、朝鮮半島の非核化を“達成すべき目標”として設定するならば、全く進展がなかったとも言えます。

 

いろいろ情報を総合して考えますと、これはトランプ氏の誤算だったのではないかと思えて来るのです。私が“推測”する事の成り行きについて、述べてみます。

 

まず、北朝鮮のミサイル発射があり、トランプ氏はこれに焦って原子力空母カールビンソンを派遣すると発表してしまった。その後関係者からヒアリングを行ったところ、北朝鮮との軍事衝突が抱えるリスクの大きさに驚いた。そこで、カールビンソンを南下させ、時間を稼ごうとした。また、中国の習近平氏にこう相談を持ち掛けた。

 

「中国が何もしないのなら、米国が北朝鮮を制圧し、韓国に併合させる。そうなったら、中国も困るだろう。だったら、中国が北朝鮮を制圧すれば良いではないか」。

 

習近平氏も、北朝鮮が韓国に併合されるのは困るので、とりあえず、石炭の輸入をストップした。しかし北朝鮮の反応は、思いの他厳しいものだった。判断を誤れば、北朝鮮の核弾頭が北京に向けられるかも知れない。困り果てた習近平氏は、本件についての平和的解決を主張した。

 

中国が対策を思案している段階で、西側陣営はしきりに中国の役割が大きいと宣伝し、トランプ氏は習近平氏を絶賛したりもした。しかし、中国といえども北朝鮮を軍事的に制圧することが困難であることが分かってくる。

 

以上が、今日までの出来事の本質ではないかと推測する次第です。カールビンソンが朝鮮半島に到着したという情報は、未だにありません。米国としては、到着させたくないのではないか、とさえ思えてきます。カールビンソンが朝鮮半島沖に到着し、何の影響力を行使することもなく米国に帰ってしまった場合、原子力空母が今日まで果たしてきた“相手方に脅威を与える”という機能が低下してしまいます。さて、米国はどうするのでしょうか。トランプ氏は、朝鮮半島問題に関しては切るべきカードを誤ってしまったのではないか。そう思えてなりません。仮に、カールビンソンが日本海で日本、韓国と軍事演習を行った後、そのまま米国に帰還したとしても、驚くには値しません。

 

さて、上記の推測が当たっていたとしたら、ここから我々が学ぶべき教訓は、2つあると思います。1つには、拳を振り上げる時には、予め、その落とし所を考えておけ、ということ。当たり前のことですね。2つ目としては、軍事大国である米国の軍事力をもってしても、北東アジアの小国、北朝鮮の問題を解決するのが困難である、ということだと思います。この点、世界の警察を自認していた米国の凋落という見方もできると思いますが、それよりも核兵器という決して使うことのできない武器によって、戦争が国際紛争の解決手段たりえなくなりつつある、ということではないでしょうか。

 

北朝鮮が核実験を実施する可能性は残されているものの、米国にとってのレッドラインを超えると思われるICBM大陸間弾道ミサイル)の発射実験は、当面、行わないような気がします。北朝鮮は、そうやって時間を稼ぎながら、兵器の開発作業を継続するでしょう。

 

大統領に就任する前、トランプ氏は「ハンバーガーでも食べながら、金正恩と話し合いたい」と述べていたように思います。こうなってみると、それも悪くない選択肢ではないか、と思えてきます。

 

一方、韓国も問題だらけのようです。前大統領は収監され、中国からは経済制裁を受け、北朝鮮の砲撃はソウルに向けられ、にも関わらず左翼の大統領(文氏)が選出されようとしている。言ってみれば、政治も、経済も、安全保障も、全て困難を極めている。ここで、4つの時代区分と、各時代の精神的な支柱ついて、一覧にしてみます。

 

古代・・・民族主義

中世・・・宗教

近代・・・イデオロギー

現代・・・(政治体制としては民主主義)

 

韓国の場合、南北に分断されているので、民族主義を採ることができない。かと言って、国民のマインドを統一できるほどの宗教もない。社会主義イデオロギーは採用していない。徴兵制などもあり、民主主義が成熟しているとまでは言えない。そうなると、それらに代わって、国民のマインドを統合するのは何かと言うと、それが“反日”なのではないかと思うのです。日本が嫌いだ、というその1点において、韓国人はそのアイデンティティを確立している。これはもう、宗教やイデオロギーに匹敵するものなので、話し合いによって解決することは、極めて困難だと思います。

No. 97 グローバリズムの終焉

明日(25日)は、北朝鮮軍創設記念日に当たるということで、北朝鮮が核実験またはミサイルの発射実験を行う可能性がある、と言われております。どのようなシナリオが予想されるのか、ネットを中心に専門家のコメントを調べてみましたが、論理的に納得できる説明はありませんでした。詰まるところ、明日、北朝鮮が何らかの行動を起こすのか否か、日本サイドでは誰にも分らない、ということなのでしょう。仮に北朝鮮が何らかの行動を取ったとしても、米軍の家族が韓国から避難したという情報はなく、米軍が北朝鮮に先制攻撃を仕掛ける可能性は、極めて低いと思われます。

 

ただ、前回の記事にも書きましたが、現在、朝鮮半島で発生している問題は、どうも過去の戦争を取り巻く状況とは違う。一体、今、何が起きているのか、その本質を考えてみたいと思います。本論に入る前に、このブログで扱ってきた時代区分に照らし、過去から今日に至るメンタリティと社会制度について、整理をしてみます。

 

無文字社会・・・神話・・・民族主義・・・・・古代

宗教国家・・・・信仰・・・宗教・国家・・・・中世

近代思想・・・・思想・・・イデオロギー・・・近代

ポストモダン・・ルール・・グローバリズム・・現代

 

便宜上、この先は一番右側に記した表記にて、記載させていただきます。

 

簡単に、各時代区分について振り返ってみます。

 

“古代”については、未だ文字や宗教が発生しておらず、人々は、神話(物語)によって、自然現象などを理解していた。各地域において、創世神話なるものが存在し、自らの民族の正当性、優越性などが定義されていた。特定の動物などと民族を結びつけるトーテミズムも、創世神話の一種と考えられるかも知れません。

 

“中世”については、宗教によって人々の精神を統合し、国家という制度を確立していた。日本で言えば、聖徳太子から第2次世界大戦までの時代。この時代に尊重されたメンタリティは、信仰である。

 

“近代”においては、社会主義思想が広く伝わり、ソ連や中国などの社会主義国家が誕生した。この社会主義思想というのは、あくまでも社会制度である訳ですが、あたかも宗教に取って代わったようにも感じます。

 

“現代”については、米国を中心に資本主義経済が支配的な時代であったと思います。近代における欧米諸国の植民地政策などが行き詰まると共に、交通手段、通信手段、情報技術が飛躍的な発展を遂げ、やがて、社会体制の違いを乗り越えて、各国が同じルールで政治や経済を動かしていこうというグローバリズムが誕生します。

 

ソビエト連邦は崩壊し、中国は改革開放路線に伴って、一部、市場原理を取り入れた。そんなこともグローバリズムに拍車を掛けたのだと思いますが、それを主導したのは、もちろん米国だった訳です。グローバリズムを支えたのは、米国主導でけん引された多くのルールだったように思います。国際的に通用するルールがなければ、国際取引は成立しない。日本でも米国からの圧力や時代の趨勢によって、多くの法律が制定されました。製造物責任法個人情報保護法会社法など、いずれの法律も、米国からの影響が色濃く反映されています。そして、国際取引に使用される言語も、英語が主流となった訳です。

 

しかし、グローバリズムは、必ずしも、万人に幸せをもたらした訳ではなかった。なんとなく、どことなく、米国が有利になる仕組みが沢山あったんですね。また、米国には多くのユダヤ人が居住しており、彼らの政治力、投票行動は無視できない。よって、米国はイスラエルを尊重する政策を取り続けてきた訳です。これでは、イスラム教を信条とする諸国は納得できません。

 

そして、2001911日、米国で同時多発テロが勃発します。今にして思えば、米国主導のグローバリズムは、この時から崩壊し始めたように感じます。同時多発テロで数千人の命が奪われ、米国としてはその怒りをどこかに向けざるを得なかった。そこで、イラク大量破壊兵器を持っていると主張して、イラク戦争を始めたのですが、この戦争による米国の被害は、思いの他大きかった。まして、侵略戦争とは違って、この戦争は米国に何も利益をもたらさなかったのではないでしょうか。当然の帰結として、米国内で厭戦気分が広がる。戦争に過大なコストを掛けるのはもう嫌だ、という人たちが増えて来る。そこに追い打ちを掛けるようにして、イスラム国なる戦闘集団が誕生し、イスラム教を基本的な行動原理とすると共に、世界各地でテロ行為を活発化させた。そして、気が付いてみると、米国内の経済は疲弊していた。そこで、トランプ氏が大統領選に立候補し、米国第一主義という内向きな政策を打ち出し、当選した。トランプ大統領の誕生というのは、米国自身による、グローバリズム終結宣言のようなものだったように思います。

 

ここでグローバリズムのストーリーが終われば、まだ良かったと思うのですが、刻一刻と変化を続ける世界情勢は、その歩みを止めなかったということでしょうか。アンチ・グローバリズムの狼煙を上げたのは、イスラム国ばかりではなかった。そう、北朝鮮核戦略というのも、歴史的に見れば、アンチ・グローバリズムという範疇に入るような気がします。

 

米国が主導してきたグローバリズムは、同時多発テロを契機として衰退を始め、今、北朝鮮によって、その終止符が打たれようとしているのではないかと思うのです。このように考えてみますと、今、朝鮮半島で何が起こっているのか、何が起ころうとしているのか、その意味が見えて来るように思うのです。

No. 96 朝鮮半島情勢、プンゲリのバレーボール

表題の件ですが、「北核実験場近くの住民が避難・・・25日前後に実施の可能性」という記事が中央日報から配信され、Yahooに掲載されました。配信は42212:08となっています。“核実験場”とはプンゲリという場所で、少し前に関係者がバレーボールをしていた所です。何か、皮肉を感じます。地下には核実験の設備があって、その上で人間が無邪気にバレーボールをしている。

 

さて、仮に記事の通り、25日前後に核実験が行われた場合のことですが、私は、それでも米軍が直ちに攻撃を仕掛ける可能性は低いと見ています。何しろ、韓国内には米軍の家族の方々が沢山おられる。

 

それにしても、本件に関しては、分からないことがまだ沢山あります。トランプ氏が習近平氏を大変、褒めそやしていますが、その理由が分からないのです。もちろん、言葉を額面通りに受け取ることはできませんし、トランプ氏が習近平氏にプレッシャーを掛けていることは明らかだと思いますが、では、トランプ氏は習近平氏、すなわち中国に一体、何を期待しているのか、という点が分からないのです。中国が北朝鮮に対して掛けることのできる圧力の種類としては、まず、経済制裁があります。北朝鮮からの石炭の輸入を中止する。これは既に実施済みのようですが、効果は小さい。また、中国と北朝鮮を結ぶ飛行機の定期便を休止したようですが、北朝鮮にしてみれば、その程度では痛くも痒くもない。次のステップとして、中国から北朝鮮への原油の輸出を止める、という対策が論議されていますが、これについては、効果が大きいという説と、大して効果はない、という説があるようです。効果が大きいという説の論拠は、原油の供給がストップすれば北朝鮮は車も戦車も動かせなくなる、ということです。一方、大して効果はない、とする説の根拠は、北朝鮮のエネルギー源の大半は石炭であって、原油を止められたからと言って、直ちに困ることはない、ということのようです。私が思うのは、北朝鮮もある程度は原油を備蓄しているでしょうから、中国からの原油の供給を止めたからと言って、直ちに北朝鮮、特にその軍隊が困るということはないと思うのです。その場合に困るのは、むしろ一般の国民の方ではないでしょうか。従って、長期的に見れば原油の供給ストップは効果が大きいものの、短期的には北朝鮮の軍隊に対する影響は、あまり大きくはないと思うのです。

 

まして、仮に中国が原油の供給をストップした場合、それ以上の経済制裁は打てなくなってしまう。つまり、北朝鮮と交渉する上での、最後のカードを切ってしまうことになる。それでも、トランプ氏があれだけ習近平氏を褒めるというのは、それ以外の手段が中国に残されていると見るべきではないでしょうか。金正恩を中国に亡命させるという方策については、本人が了承する可能性が低く、現実味がない。すると残る手段は、中国による北朝鮮に対する何らかの軍事的圧力、それ位しか思い浮かばないのです。あくまでも仮定の話ですが、仮に中国が金正恩政権を倒し、その後、北朝鮮に傀儡政権を樹立するというシナリオがあれば、それはそれで丸く収まるような気もします。中国にそれだけの覚悟があれば、という条件付きの話ではあるのですが・・・。いずれにせよ、仮に25日前後に北朝鮮が核実験を実施した場合、その後、上記の通り中国主導で事態が進展していくのか、あるいは米国が先制攻撃に向けての準備を加速させるのか、その方向性が見えてくるような気がします。

 

以上が、「どうなると思うか」という話であって、ここから先は「どうあって欲しいか」という事について、若干述べさせていただきます。

 

過去の歴史に照らしてみますと、本件は、特殊な事案だと思うのです。近代以降の戦争の目的を考えてみますと、まず、他国を侵略して植民地にする、というのがありました。このケースでは、相手国から経済的な利益を収奪するんですね。これは、主として欧米諸国が行ってきた戦争です。次に、他国を併合して、その食料なりエネルギー資源を収奪するというのもあります。自国の宗教を普及させる、他の宗教を弾圧するという宗教戦争というのもあったのではないでしょうか。現在のイスラム国(国家ではありませんが)が行っているテロリズムというのも、このカテゴリーに入るかも知れません。また、資本主義と社会主義、すなわちイデオロギーの違いから戦争になったというケースもあるのではないかと思います。ソ連が存在していた時代には、米ソの冷たい戦争と呼ばれていましたが、これはイデオロギーの違いが引き起こしたものだと思います。

 

では、本件はいかがでしょうか。今、問題を引き起こしているのが北朝鮮だとすると、北朝鮮は上記の事例の中で、どれに該当するでしょうか。実は、どれにも該当しない。北朝鮮は、米国を植民地にしたい訳ではなく、米国の資源を欲しがっている訳ではなく、米国に自国の宗教を押し付けたい訳ではなく、米国を社会主義国家にしたい訳でもないんです。それは、米国の側から見ても、同じことが言えます。ただ、両国とも、相手方からの攻撃を怖れている。ただ、それだけの理由だと思うのです。だから本件は、対話によって解決できるはずだと思うのです。いや、そうして欲しいと思うのです。

 

核兵器を生み出したのは、科学です。だから、科学ではその使用を抑制することはできません。その使用を抑制し、平和的な解決を行うこと。それができるのは、人間の知恵だと思うのです。そして、その知恵のことを私は“文化”と呼びたいのです。

No. 95 朝鮮半島情勢、シナリオはあったのか

朝鮮半島情勢についてですが、数日前、浅田真央さんの引退ばかり報道していた日本のマスコミが、堰を切ったように本件を取り扱っています。本件に関しまして、報道規制のようなものがなかったことが明らかにとなり、嬉しく思っております。もちろん、軍事作戦上の事項は秘密扱いとなっているのでしょうが、それは国民の利益に資することであり、当然だと思います。

さて、本件に関するその後の情報を簡単に振り返ってみます。米国の原子力空母、カールビンソンですが、当初の報道では15日には朝鮮半島沖に到着するはずでしたが、まだ到着していません。ホワイトハウス国防総省の間で連携ミスがあった、との報道もあります。そんな馬鹿な、とは思うのですが、既に情報戦の様相を呈しており、何が真実なのか、知る由もありません。他方、ニミッツと横須賀に停泊中のロナルドレーガンを合わせて、空母3隻で対応に臨むとの報道もあります。

さて、マスコミ報道に関しましては、過去の経緯から防毒マスクの値段まで、一応、出尽くした感がありますが、結局、今、日本に住む我々がどういう状況に置かれているのか、これからどうなるのか、肝心な点は、どうもはっきりとしないように感じているのですが、いかがでしょうか。

ロジックで考えた場合、今後の展開は、次の3種類かと思うのです。

1. 軍事力によって解決される。

2. 話し合いによって解決される。

3. 当面、解決されない。

まず最初の「軍事力による解決」ですが、どうもこれは相当困難なようですね。何しろ、韓国のソウルは北朝鮮との国境から40キロ程度しか離れていない。従って、米国側から先制攻撃を仕掛けた場合、ソウルが火の海になるというのは、あながち北朝鮮の嘘ハッタリでもなさそうです。また、日本の被害も回避することが困難なようです。東京に核ミサイルが投下された場合、瞬時にして42万人が死亡するというシミュレーション結果もあるようです。してみると、このシナリオというのは、なかなか現実に起こりそうもない。

次に、「話し合いによる解決」ですが、北朝鮮は自らが核兵器保有することを米国が認めなければ対話に応じない、という態度に固執しているようで、それは米国が飲める条件ではない。よって、この可能性も低いのではないでしょうか。中国が金正恩を亡命させ、一生面倒を見る、という可能性もあるとは思うのでが、必ずしも金正恩がそこまで追い込まれている状況とも言えず、この可能性も高くはないように思います。

そうしてみると、「当面、解決されない」という第三の可能性が高いように思えます。実際どうなるのか、それはもちろん私にも分かりません。もしかすると、今月の25日前後に事態が進展しないとも限りません。しかし、現在、公表されているメディアの情報からすれば、本件は、簡単には解決しそうもない。

拳を振り上げる時には、その落としどころを考えなくてはいけませんし、米国のことだから、当然、考えているだろうと思っていたのですが、どうも雲行きがおかしい。トランプ大統領は、もしかすると落とし所を考えることなく、拳を振り上げてしまった可能性も否定できないように思うのです。落とし所は見えていなくとも、北朝鮮ICBMの開発を阻止するためには、そうせざるを得なかったのかも知れません。

分かりませんが、上記の推測が現実にマッチしていた場合、当分、本件の解決は望めないこととなります。解決しないということは、すなわち、北朝鮮核兵器やミサイルの開発が継続することを意味します。そうなった場合、北朝鮮が最初に希望することは何でしょうか。それは、民族の統一、韓国を併合することではないでしょうか。もちろん、それは日本にとって、好ましいことではありません。そうならないことを願っていますが、もしかすると我々日本人が直面しているリスクとは、ここにあるのかも知れません。

今月、16日の日曜日に放送されたNHK日曜討論という番組では、最後に司会者がこう尋ねました。「米国と北朝鮮の軍事衝突を避けるためには、どうすればいいと思いますか?」 それは、感情レベルでは、理解できます。何とか軍事衝突、すなわち戦争は回避してもらいたい。それは、私もそう思います。しかし、私たちが直面している課題を定義するとすれば、その質問は近視眼的に過ぎると思うのです。今、私たち日本人が見るべき課題のフレームワークは、もう少し広く設定する必要がある。仮に、当面の戦争が回避されたとしても、その後、完全に核武装した北朝鮮という隣国と向き合わなければならないとするならば、それはそれで大変大きな課題であると言わざるを得ないと思うのです。

とは言え、今さら日本が軍備を増強したとしても、大国にかなう訳ではありません。そうではなくて、何か、日本の平和を維持していくための戦略なり、対話力の強化などが求められているのではないかと思うのです。

 

No. 94 朝鮮半島情勢、4つのチェックポイント

ブログのタイトルと掲載記事の内容が解離していますが、今は平時ではないように感じており、差し迫った問題を優先して取り上げたいと思いますので、この点はご容赦ください。

さて、朝鮮半島情勢ですが、ご案内の通り16日の早朝に北朝鮮はミサイルを発射しましたが、失敗に終っております。米国との緊張関係を高めないために、意図的に失敗させたのではないか、米国のサイバー攻撃が効を奏したのではないか、などの推測がなされていますが、発射したという事実に間違いはなく、日本政府も北朝鮮のミサイル発射は今後も継続されるとの見通しを公表しました。リスクのレベルが高まったと言えそうです。

金正恩は「生き延びるためには、核武装して米国に対抗するしかない」と考えているとの報道があり、その通りなのかも知れません。そうしてみると、北朝鮮が今後、核実験と大陸間弾道ミサイルICBM)の発射実験を行う可能性は、否定できません。北朝鮮は、軍事パレードと核実験の順番を入れ換えただけだ、との見方もあります。

一方米国は、とりあえず北朝鮮からの攻撃に備えてはいるものの、先制攻撃を行うための準備は完了していないように見えます。軍事の専門家は、米国が先制攻撃を行うのは、完璧に準備を完了した後のことであって、最後は天候次第であると説明しています。また、その場合、空母は2隻必要だそうです。

また、米国が先制攻撃を仕掛ける場合、その時期を我々一般国民が知らされるのかと言えば、その可能性は低いと言わざるを得ません。そこで、Xデーを推測するためのチェックポイントをまとめてみました。

1. 現在滞在中の海外メディアは、北朝鮮を離れたか。

2. 北朝鮮は、核実験またはICBM の発射実験を行ったか。

3. 現在、韓国に滞在中の米軍の家族は、沖縄などに避難したか。

4. 朝鮮半島沖に、2隻目の空母は展開されたか。

上記の4項目が全てYesとなってからでは、遅いかも知れませんね。3項目がYesとなった時点で、私はとりあえず車のガソリンを満タンにしようかなと考えています。ご参考まで。

以上

No. 93 朝鮮半島情勢とリスクマネジメント

落ち着かない週末を過ごされている方も、少なくないのではないかと思います。

さて、表題の件ですが、深刻な問題ですので、今回は失敗しないよう慎重に記載したいと思います。なお、私は多くの皆様と同様、何らかの内部情報などを持っている訳ではなく、情報源はテレビ、新聞、ネットなどによって既に公表されているものに限定されますので、その点、予めご了承ください。

まず、本日(15日)現在の状況を簡単にまとめてみましょう。

北朝鮮は予定通り軍事パレードを実施しましたが、そこで開示されたミサイルが新型のICBMではないか、との推定がなされています。また、核実験を行う準備はほぼ完了しているようですが、新型ICBMの発射実験は、技術的な問題があり、実施段階になさそうです。北朝鮮の高官は、相変わらず強気の発言を続けています。

一方米軍は、原子力空母カールビンソンが、朝鮮半島近海に、本日、到着予定となっています。横須賀港に停泊中の空母ロナルドレーガンは、メンテナンス中で出航できないようですが、替わって二ミッツという空母が、朝鮮半島沖を目指して、航海中とのこと。在日米軍も臨戦態勢になっているようです。米軍基地周辺に在住の方々から、いつになく飛行機の発着頻度が高まっている、というネットへの書き込みがあります。

 

以上が、公開されている情報の概略ですが、ここから先は私の個人的なコメントを記載させていただきます。

まず。テレビ、新聞の報道状況ですが、概ね楽観的だと言えます。上に記した事項からすれば、事態は相当緊迫していると思うのですが、何故、楽観視できるのか、その理由が私には分からないのです。Yahooニュースへの書き込みを見ていますと、私と同じように感じている人たちが決して少なくないことがわかり、ちょっと安心した次第です。水や食料を買いだめした人とか、いやいやローソクも買っておいた方がいいとか、車のガソリンを満タンにしておいたという人までおられるようです。私はそこまでの準備はしていませんが、少なくともこの時期にソウルへ観光旅行に出掛けるというのは、ちょっと信じられません。確かに、過去には国民がパニックになり、トイレットペーパーの買いだめに走ったという例もあります。しかし、福島第一原発の事故の際、政府も東電メルトダウン炉心溶融)はないと言い張っていましたね。そして、危機的状況が過ぎ去ると、実はメルトダウンしていたと認めたのではなかったでしょうか。

本件で言えば、日本政府とその関係者は、米国の作戦について、その内部情報を知っている。それを漏らす訳にはいかない。そういう事情があることは分かります。メディアに登場するコメンテーターも、一部、内部情報に接しているものと推定されます。しかし、「こうあって欲しい」という情緒的な願望と、「こうなるのではないか」という客観的な事実認定が、混同されているということはないでしょうか? リスクマネジメントの観点から言えば、それはあってはならないことのはずです。ひと度、有事となれば、ノドンミサイルの数発位は、日本国内に着弾する可能性は十分にあるのではないでしょうか。「平和ボケ」という言葉がよく使われますが、そのような心理状態を脱却するためには、事実を直視すること、情緒に流されないことが必要であって、そのためのスキルが、リスクマネジメントだと思うのです。あるテレビ番組で「今は中国の説得に期待する」とコメンテーターが異口同音に述べていました。私も、それを期待しています。しかし、では、中国に何ができるのか、客観的に分析すべきだと思うのですが、論議はそこまで進まない。中国が北朝鮮を説得して、戦争を回避して欲しいといのは情緒的な願望に過ぎない。では、具体的な方法があるのか、ということまで考えなければ、リスクを評価することはできないと思うのです。ちなみに、中国にできるのは、石炭の輸入停止、石油の供給停止などの経済的な制裁に限定されているようです。金正恩を中国に亡命させるという選択肢も理論的にはあり得ますが、金正恩は中国の特使と会うつもりはなさそうです。

次に、米国の対応ですが、リスクマネジメントが徹底されているように感じます。2~3日前、ある高官がこう発言していました。「目標は、朝鮮半島の非核化である」。たったこの一言に、沢山の意味が込められていると思うのです。1つには、北朝鮮の体制変更が目的ではない、ということ。すなわち、北朝鮮を潰して韓国に併合するとなれば、それは中国にとって大変な政治的損失となる。そんなことは考えていない、中国と戦うつもりはない、というメッセージ。2つ目には、北朝鮮と言わず、朝鮮半島という言葉を使っている。これは、北の問題さえ解決できれば、韓国を核武装させるつもりはない、ということだと思うのです。3つ目には、行動する前の段階で、目標を明確に設定しているということ。最近のリスクマネジメントの理論では、最初に目標を設定するんです。そして、目標達成の阻害要因をリスクとして特定し、個々のリスクに対処していくんですね。そういうことを米国は、やっていると思います。この話は、別の機会にもう少し述べてみたいと思います。

 

少し長くなりましたが、最後に、本件のトリガー(引き金)について述べたいと思います。北朝鮮は、核実験を行う準備をほぼ、完了している。北朝鮮がこれを行えば、米国が攻撃を開始することになると思われます。このリスクは、既に、現実のものとなっています。一方、米国ですが、昨日辺りから、「北朝鮮が核実験を行うことが確実視される場合には、先制攻撃をする可能性がある」と述べています。(その後、この点を否定したという報道もあるようです。)そうしてみると、仮に、北朝鮮が核実験を行わなかった場合でも、米国が行いそうだと認定しさえすれば、先制攻撃に踏み切る可能性がある、ということではないでしょうか。米国は、「イラク大量破壊兵器を持っている」と主張してい、イラク戦争を始めました。(結局、イラクは持っていなかったのですが) また、数日前には、「シリアが化学兵器をし使用した」と言って、同国にミサイルを打ち込んだ。シリアが本当に化学兵器を使用したのか否か、私には分かりませんが、同国はかかる事実を否認しているようです。そうしてみると、既に5回の核実験を行っている北朝鮮が「6回目の核実験の実施に着手した」と米国が主張すれば、文句を言う国はないように思います。米国がそのようなことをするかどうかは分かりませんが、現時点で、北朝鮮に対し、米国が「いつでも攻撃できる」というフリーハンドを確保しているのは間違いなさそうです。なお、あくまでも推測ではありますが、米国は現時点で、中国に対応の時間的猶予を与えているような気がします。また、現在、北朝鮮には100名程度の海外メディアの関係者が滞在しており、彼ら巻き込みたくないという事情もあろうかと思います。従って、米国が攻撃を仕掛けるとしても、その時期は、メディア関係者の出国後ではないでしょうか。彼らが人質として、北朝鮮に拘束されないことを切に願っております。

訂正とお詫びのお知らせ

本日、No. 93 朝鮮半島情勢とリスク評価と題した記事を掲載いたしましたが、その中で、「米国が先にトリガーを引く可能性は低いと思う」と記載すべきところを「米国が先制攻撃を仕掛ける可能性は低いと思う」と記してしまいました。本来、記事を訂正すべきところですが、本日、出先にてそれも叶わず、やむ無く記事を削除致しました。既にお読みいただきました方々に対しましては、訂正させていただきますと共に、お詫び申し上げます。

 

当該記事の趣旨と致しましては、昨日(12日)のメディアにおける取り扱いが異常に少なく、また、浅田真央さんの引退会見をトップで扱っているケースもあり、遺憾ではないか、ということが一つ。

 

2点目としては、米国が先にトリガーを引く可能性は低いと思われるものの、中国が北朝鮮の説得に失敗し、北朝鮮が核実験もしくはミサイルの発射実験に踏み切った場合、米国が北朝鮮に対し、攻撃を仕掛ける可能性は、50%程度はあるのではないか、ということ。

 

3点目としては、日本では1945年以来、70年以上平和が続いており、そのことは大変素晴らしいと思うが、同時に我々日本人の想像力なりリスク感性(あらかじめ、リスクを感知する能力)が低下しているのであれば、それを早急に回復させる必要があるのではないか、ということを述べたものです。

 

当該記事を掲載した後、北朝鮮が次の核実験の準備をしており、その実施時期は4月15日ではないかとのニュースがネットで配信されました。

 

よって、本件につきましては、同日の成り行きを見て、また、記事を更新することに致します。人的被害が最小限となることを願っております。

 

以上