文化で遊ぶ

(旧タイトル:文化の誕生)

No. 119 深まらない論議

No. 117の原稿にootkysnrさんからコメントをいただきました。有り難うございました。コメントのご趣旨としては、国民の無関心が今日の国会の堕落を招いたのではないか、とのことですが、全くもってその通りだと思います。現政権を批判することは、ある意味、…

No. 118 アメリカの巡回裁判所

もう随分昔のことですが、アメリカのどこかで、私は巡回裁判所の建物をみたことがあるのです。モンタナ州のミズーラという小さな町だったような気もするのですが、自信はありません。 若い弁護士がハンドルを握っていて、私は助手席に座っていた。アメリカの…

No. 117 日本人の忘れ物

ここ2~3日、YouTubeにハマッてしまいました。何を見ていたかと言えば、主に国会中継を見ていたのです。YouTubeというのは、過去の画像だけだと思っていたのですが、“Live”と表示された生中継もあるんですね。これには、ちょっと驚きました。もちろん過去…

No. 116 文化の現在(その2)

文化の構造図を眺めていますと、左側に記載した項目、すなわち遊び、大衆文化、前衛芸術は、どれも自由なんです。他方、右側に記載した伝統文化と法律というものは、どうもその反対で、束縛されるイメージが強い。 思うに、古代人は比較的自由で平等な暮らし…

No. 115 文化の現在(その1)

遊びや大衆文化というものは、大人たちや時の政権、軍部には、嫌悪されてきたのだと思います。その理由につきましては、50年戦争の期間、政府によってそういう価値観が国民に刷り込まれたからだ、という見方もあるようです。確かに、戦時中のモットーは「欲…

No. 114 文化のダイナミズム(その4)

伝統文化の究極の形は、宗教ではないでしょうか。そこには、祈祷の方法、食事の作法、衣服、建築物の様式、葬送の執行方法など、あらゆる秩序が定められています。遊びから始まって、伝統文化に至るプロセスの詳細につきましては、このブログの冒頭で述べま…

No. 113 文化のダイナミズム(その3)

No. 111の原稿に添付致しました「文化の構造図」に従って、次は、大衆文化について考えてみます。これは遊びが普及し、ある程度体系化されたものということになります。決して、悪い文化、程度の低い文化、という意味ではありません。 大衆文化の本質を考え…

No. 112 文化のダイナミズム(その2)

少し前に、アメリカでゴジラという映画が作成されたのは、ご存じでしょうか。既に何作もの作品が上映されていて、日本人としては、ゴジラに少し飽きていた。しかし、アメリカ人の映画関係者にとって、ゴジラは新鮮だった。つまり、アメリカ人にとってゴジラ…

No. 111 文化のダイナミズム(その1)

前回のシリーズでは、結局、遊びとは何か、それを定義づけることができませんでした。その理由は、古代まで遡ってみると遊びと仕事を区別することができなかったからです。例えば、狩猟採集民が野ウサギを捕まえたとします。面白いので、これに紐を付けてし…

No. 110 遊びとは何か(その10)/ネットが育む現代の遊び

夢に破れ、孤独に向き合っていた近代の人たち。しかし、そんな時期でも、庶民とその子供たちは遊ぶことを止めなかった。野球盤ゲームだとか、ルービックキューブだとか、子供たちは少しでも楽しそうなものを探していたんだろうと思うのです。大人たちも、芸…

No. 109 遊びとは何か(その9)/近代の遊び

第二次世界大戦に敗れた日本では、大変な混乱が生じた。何しろ、広島と長崎に原爆が投下され、東京も焼野原になった。日本にやってきた米兵の行いも酷かったようです。「占領軍であった米兵の強姦、強盗、窃盗、略奪は、米軍上陸直後から多発した」そうです…

No. 108 遊びとは何か(その8)/戦時中の遊び

江戸時代からスゴロク、カルタなどはありましたが、明治になるとトランプやビリヤードが普及したようです。神戸市の統計によると、大正5年(1916)の市内の遊技場は、次の構成となっていたそうです。(出典:日本遊戯思想史、以下「文献1」) 空気銃射的場・…

No. 107 遊びとは何か(その7)/戦い始めた中世の遊び

厳密には、大型動物を追いかけて日々移動していた時代と、農耕を始めて定住し始めた時代の間に、中間的な生活形態があったようです。生活の糧は相変わらず狩猟、採集にありましたが、簡単な住居を構えてキャンプのような生活をし、必要に応じて移動する、と…

No. 106 遊びとは何か(その6)/遊びの起源は古代にあり

いくつか視点を変えながら、“遊び”について考えてきましたが、やっとその輪郭が見えてきたように感じています。 結局、遊びの起源というのは、古代にある。我々ホモサピエンスの歴史を概観しますと、20万年前にアフリカで始まり、農耕と牧畜が開始されたのが…

No. 105 遊びとは何か(その5)/ 狩猟採集民の遊び

No. 102の記事で、遊びの種類について述べましたが、どうも種類が多く、まだ、本質が見えて来ないように感じます。ビー玉を例に取って考えますと、その構成要素は3つある。第一にビー玉という遊具、第二に地面の穴なり枠組みなどの場所。第三に、ルールとい…

No. 104 遊びとは何か(その4)/ それでもジャズは死なない

前回の原稿で、マイルス・デイビスが死去してから、ジャズは急速に衰退していったということを述べましたが、では、ジャズがその後どうなったのか、考えてみたいと思います。 統計上のデータがある訳ではありませんが、例えばCDの売上枚数、ジャズをやってい…

No. 103 遊びとは何か(その3)/打ち捨てられたもの

今朝、少し遅い時間に目覚め、そして、突然ひらめいたのです。遊びとは、打ち捨てられたものから始まるのではないか。 例えば、こんな話があります。アメリカの黒人は、かつてブルースという音楽を発明しました。それが発展して、やがてロック・ミュージック…

No. 102 遊びとは何か(その2)/遊びの種類

どうもビー玉のことが気になって仕方がありません。ネットで調べてみると、そもそもガラス玉というのはエジプトや中東の遺跡からも発掘されている。また、ポルトガル語でガラスのことをビードロと言うようで、これが変化してビー玉という呼び名が発生したと…

No. 101 遊びとは何か(その1)/ビー玉

このブログは文化が生まれるプロセスを考える所から出発しました。No. 1からNo. 24におきましては、言葉から始まり、物語、呪術、シャーマニズムなどを積み上げ、やがて宗教に至るという歴史主義的な検討を行いました。そして、そのプロセスにおいて、文学、…

No. 100 深沢七郎の短編小説「白笑」を読む

ブログの更新、少し間が空いてしまいましたが、今回は、その言い訳から始めさせていただきます。 以前取り上げました村上春樹の小説には、経済的に裕福で、高学歴の美男美女が多く登場しましたが、正直に言いますと、私は辟易してしまったのです。あのゴッホ…

No. 99 このブログ、平時のモードに戻します。

すっかり朝鮮半島情勢に振り回されてしまいましたが、問題は長期化すると思われますので、このブログは平時のモードに戻すことにします。 また、いくつかの検討課題が中途半端な状態になっていたように思いますので、今回は、それらの問題に決着をつけたいと…

No. 98 朝鮮半島情勢、切り間違えたカード

昨日は朝鮮人民軍創建85周年だった訳ですが、大きな事件は起こりませんでした。それはそれで幸いなことではありますが、朝鮮半島の非核化を“達成すべき目標”として設定するならば、全く進展がなかったとも言えます。 いろいろ情報を総合して考えますと、これ…

No. 97 グローバリズムの終焉

明日(25日)は、北朝鮮軍創設記念日に当たるということで、北朝鮮が核実験またはミサイルの発射実験を行う可能性がある、と言われております。どのようなシナリオが予想されるのか、ネットを中心に専門家のコメントを調べてみましたが、論理的に納得できる…

No. 96 朝鮮半島情勢、プンゲリのバレーボール

表題の件ですが、「北核実験場近くの住民が避難・・・25日前後に実施の可能性」という記事が中央日報から配信され、Yahooに掲載されました。配信は4月22日12:08となっています。“核実験場”とはプンゲリという場所で、少し前に関係者がバレーボールをしていた…

No. 95 朝鮮半島情勢、シナリオはあったのか

朝鮮半島情勢についてですが、数日前、浅田真央さんの引退ばかり報道していた日本のマスコミが、堰を切ったように本件を取り扱っています。本件に関しまして、報道規制のようなものがなかったことが明らかにとなり、嬉しく思っております。もちろん、軍事作…

No. 94 朝鮮半島情勢、4つのチェックポイント

ブログのタイトルと掲載記事の内容が解離していますが、今は平時ではないように感じており、差し迫った問題を優先して取り上げたいと思いますので、この点はご容赦ください。 さて、朝鮮半島情勢ですが、ご案内の通り16日の早朝に北朝鮮はミサイルを発射し…

No. 93 朝鮮半島情勢とリスクマネジメント

落ち着かない週末を過ごされている方も、少なくないのではないかと思います。 さて、表題の件ですが、深刻な問題ですので、今回は失敗しないよう慎重に記載したいと思います。なお、私は多くの皆様と同様、何らかの内部情報などを持っている訳ではなく、情報…

訂正とお詫びのお知らせ

本日、No. 93 朝鮮半島情勢とリスク評価と題した記事を掲載いたしましたが、その中で、「米国が先にトリガーを引く可能性は低いと思う」と記載すべきところを「米国が先制攻撃を仕掛ける可能性は低いと思う」と記してしまいました。本来、記事を訂正すべきと…

No. 92 ポストモダンよ、さようなら!

昨日、アメリカの原子力空母、カールビンソンとその一団が朝鮮半島に向けて出発したというニュースがありました。その後、北朝鮮がこれに強く反発しているという情報もあります。小心者の私は、このニュースが気になって仕方がありません。アメリカがシリア…

No. 91 ポストモダン/ 遠い現実、近づくエンターテインメント

“希望”というのは、いい言葉ですよね。私の記憶では、ジョン・レノンも希望を失うな、と言っていました。これは近代思想の時代のメンタリティと深い関係があるように思うのです。例えば、ジョンは、世界を平和にするという“希望”を持っていた。その“希望”を…

No. 90 ポストモダンと無文字社会のメンタリティ

ポストモダンという時代においてマジョリティを占める心の機能は“感覚”で、それは無文字社会においても同じだった。だから、両者には親和性があると思うのですが、この点をもう少し考えてみます。 神話、民話、童話などを総称して、このブログでは“物語”と呼…

No. 89 ポストモダンと情報

前回までの原稿で、“近代思想の時代”がいかに幕を下ろしたのか、そこまでは整理できたように思いますが、ポストモダンから今日に至るまでの時代性については、必ずしも検討し切れていないと思うので、ここにフォーカスして、もう少し考えてみます。なお、ポ…

No. 88 共同体と個人(その5)

“近代思想の時代”と“ポストモダンの時代”を明確に区分けすることはできませんが、おおまかに言うと、その移行期は1975年から1990年頃だったような気がします。関連する世界的な出来事を記してみます。 1973年・・・ベトナム戦争終結1976年・・・文化大革命終…

No. 87 共同体と個人(その4)

近代思想の時代というのは、正に“思想”の時代だったと思います。例えば日本国憲法には平和主義、個人主義、自由主義などが定められています。人々はロジックで物事を考え、その行動を規律するための法律が整備された。日本も法治国家になり、国会では与党と…

No. 86 共同体と個人(その3)

宗教国家としてのメンタリティに劇的な変化を及ぼしたのは、第二次世界大戦だったと思います。ヨーロッパでは、ナチスドイツが無数のユダヤ人を虐殺した。そして、広島と長崎に原子力爆弾が投下された訳です。この2つの出来事は、人類に衝撃を与えたに違いあ…

No. 85 共同体と個人(その2)

宗教国家が生まれる直前の日本では、豪族による武力支配と、シャーマニズムに基づく精神世界があったようです。そこで、聖徳太子(574~622)が登場します。聖徳太子に関しましては、どこからどこまでが彼の功績だったのか判然としないようですが、ここでは…

No. 84 共同体と個人(その1)

このブログのNo. 82 ~ No. 83におきまして、“プレモダンのメンタリティ”というタイトルで原稿を掲載致しました。実は、これをシリーズ化して、モダン、ポストモダンへ続けようと思っていたのですが、どうもうまく行きません。一つには、時代区分は4つにすべ…

No. 83 プレモダンのメンタリティ(その2)

No. 83 <プレモダンのメンタリティ(その2)> プレモダンについては、やはり、2つの時代区分に分けて考えた方が良いかも知れません。 ・無文字社会の時代・宗教国家の時代 双方の時代には、共通点もあります。人々の個性や自由は、尊重されなかった。しか…

No. 82 プレモダンのメンタリティ

人間の心のあり様、これはメンタリティと言っていいと思うのですが、これを3つの時代区分で考えるというアイディアは、河合俊雄氏の文献にヒントを得たものです。これが、なかなか興味深い。 <3つの時代区分>プレモダン・・・・前近代モダン・・・・・・近…

No. 81 村上春樹の「少し前の作品」を読む(その6)

当初の予定に従えば、“文体”について検討することになっていました。しかし、これは具体例を示すまでもないように思えてきました。すなわち、本件作品においては、各登場人物の何に焦点が当てられているかと言えば、服装であったり、髪型であったりする訳で…

No. 80 村上春樹の「少し前の作品」を読む(その5)

今回は、「参考資料」として、各登場人物に対する評価を掲載致します。 〇 多崎つくる(主人公)この小説のタイトルにもある通り、多崎つくるは自分に色彩、すなわち個性がないのではないかと、悩んでいる。多崎つくるは「僕は昔からいつも自分を、色彩とか…

No. 79 村上春樹の「少し前の作品」を読む(その4)

次のステップは、「登場人物の経歴と言動」を分析するということですが、前回ご紹介致しました河合俊雄の文献も参考にして、次のように作業を進めてみました。 まず、登場人物の特質を把握するために、チェック項目を抽出し、似通った項目をまとめて並べ替え…

No. 78 村上春樹の「少し前の作品」を読む(その3)

本件作品のサブのストーリー・ラインは次の通りです。 仲の良い5人のグループから絶縁されてから、1年が経過した頃、多崎つくるには灰田という男の友人ができる。やがて灰田は多崎つくるのマンションに泊まり、2人は深夜まで話し込むほど、親しくなる。ある…

No. 77 村上春樹の「少し前の作品」を読む(その2)

村上春樹の「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」ですが、このタイトル、長いですよね。この先は、“本件作品”と呼ばせていただきます。 さて本件作品ですが、結構な分量もあり、かつ曖昧模糊としていて、ちょっと掴みどころがありません。こういう場…

No. 76 村上春樹の「少し前の作品」を読む(その1)

インターネットのニュースを見ていたら、気になる記事が2つありました。1つは、村上春樹の新作「騎士団長殺し」が本日発売されたとのこと。たまたま、このブログで村上春樹の作品を取り上げようと思っていた矢先に、新作が発表された訳です。ここでこれか…

No. 75 雑感とブログタイトル変更のお知らせ

武田泰淳の「ひかりごけ」には、人肉喰い(カニバリズム)に対する強烈な嫌悪感という集団の無意識を背景として、全人格が否定される個人(船長)が描かれていました。今どきそんなことはない、と思われる方もおられるでしょうか。確かに、最近はカニバリズ…

No. 74 武田泰淳の「ひかりごけ」を読む(その2)

この作品を読んで、まず、読者の脳裏に強烈な印象を残すのは、第2部、すなわち洞窟のシーンではないでしょうか。登場人物が一人、また一人と死に、残った者がその肉を食べて生き延びる。言うまでもなく、人肉喰いに対する言いようのない嫌悪感というものは、…

No. 73 武田泰淳の「ひかりごけ」を読む(その1)

前回の原稿で、「異類婚姻譚」という集合的無意識を背景とした、“鶴女房”という昔話を取り上げました。その延長線上で、もう少し新しい、集合的無意識を背景とした小説について検討しようと思ったのですが、そこで思いついたのが、表題の「ひかりごけ」だっ…

No. 72 物語を解体する

先日、明け方に目が覚めてしまいました。ぼんやりしながら、少し水を飲み、ベッドに腰かけて煙草に火をつけました。何故か、「鶴の恩返し」のことを考えているのです。それに関連した夢でも見たのでしょうか。そこは、はっきりしません。結局、あの物語は何…

No. 71 小川国夫/葦の言葉(その5)

前回から引き続き、小川氏の講演内容について、検討します。 〇 講演内容/美しい葉ロシア人には共通した、言わば肉体化された観念を構成している昔話がある。「正しいとされる考え方は、人は来世の永遠の生命を信じるということなんで、特にすぐれた聖者だ…