文化領域論

(No.196 ~ No.228)

No. 246 憲法の声(その13) それでも真理は存在する。

本を読んでおりましても、なかなか、すぐには分からない。しかし、いろいろ当たっておりますと、ストンと腑に落ちることがあります。 文献14によりますと、ヘーゲルは次のように考えていた。 “矛盾の発端は、「自由」でありたいという各人の欲望の本性にある…

No. 245 憲法の声(その12) 理性主義、ロックからポストモダンまで

前回に引き続き、理性主義について考えてみます。 ジョン・ロックは、次のように考えた。まず、全知全能の神がいて、神は人間だけに理性を与えた。そして、神は啓示によって人間に真理を告げる。しかし、啓示については、人間が理性によって解釈すべきである…

No. 244 憲法の声(その11) ロックの理性主義、そして立憲・民主主義の起源

イギリスは、何かとややこしい国です。英語圏では、UK(United Kingdom)と呼ばれ、日本語ではイギリスと言われる。イギリス本島の西側にアイルランド島というのがありますが、その北部はイギリス領北アイルランドで、南部がアイルランド共和国になっている…

No. 243 憲法の声(その10) ピューリタン革命

前回の原稿で、物語的思考については、認識の及ぶ範囲が狭く、それでは追いつかない程ヨーロッパ人の視野が広がったため、論理的思考方法が生まれたのではないか、ということを述べました。しかし、一方、現代人である我々は、心を癒すために物語的思考、閉…

No. 242 憲法の声(その9) ホッブズのコモン・ウェルス論

領土をめぐる紛争、カトリックとプロテスタントの戦い、魔女狩り、拷問、そして奴隷制などに揺れ動くアナーキーな社会情勢の中で、ホッブズはそれでも人々には、生きる権利があると考えた。そして、人々が生き延びるためには、人々自身が武器を捨てる必要が…

No. 241 憲法の声(その8) ホッブズの平和主義

ホッブズの思考は止まらない。前回の原稿に書いた通り、まずホッブズは、人間の体力、知力に大差はなく、人間は平等だと考えた。そして、平等だから、戦争が起こると主張する。仮にAさんが畑を耕し、農作物を収穫していたとする。しかし、人間の体力、知力に…

No. 240 憲法の声(その7) ホッブズの平等論

忘れないうちに書いておきます。歴史主義的文化人類学で分かるのは、宗教までの文化でした。これは幾度となく、このブログに書いてきたことです。そして今、私が辿ろうとしている憲法の歴史というのは、宗教以後のことです。すると、両者を足すと、人間の歴…

No. 239 憲法の声(その6) 衝撃のホッブズ

ルターやカルヴァンについて検討したことは、決して無駄ではなかったようです。当時の時代環境について知ることができたし、加えてこれから述べるホッブズの偉大さを噛みしめることができると思うからです。そして私は、このブログでホッブズについてご紹介…

No. 238 憲法の声(その5) カオスとしての宗教戦争

前回の原稿で、権力には3種類あると書きました。その呼称なんですが、最後に“権力”という言葉を加えた方が分かり易いのではないかと思い直しました。変更させていただきます。 規範制定力 → 規範制定権力軍事力 → 軍事的権力経済力 → 経済的権力 神聖ローマ…

No. 237 憲法の声(その4) 神聖ローマ帝国における権力の構造

注文していたカルヴァンに関する本(文献9)を読んでおりましたら、面白い記述がありました。 ルターが火を付けた宗教戦争は、ヨーロッパ各地に飛び火して行く。しかし、当時は現代に比べると国家という枠組みが明確ではなかった。そこで、カトリック勢力と…

進捗状況のご報告(その2)

非公式原稿とは言え、前回の原稿において、私は2つのミスを犯してしまいました。これは、訂正してお詫び申し上げるしかありません。 1つ目のミスは、ホッブスの表記ですが、正しくは最後の“ス”が“ズ”と濁る。ホッブズが正しい。2つ目のミスは、少し前提につ…

進捗状況のご報告

前回の原稿で、プロテスタントの起源までは理解できたと思うのですが、複数の文献によりますと、プロテスタンティズムを体系的に確立したのは、ルターではなく、ジャン・カルヴァンだということです。ルターが残した最大の功績は、現代の言葉で言えば政教分…

No. 236 憲法の声(その3) そして宗教改革が始まる

<1517年10月31日 95か条の提題>ローマ教皇の許可を得てアルブレヒト選帝侯が販売していた贖宥状(しょくゆうじょう)に反発したルターが、95か条の提題(以下「提題」という)をヴィッテンベルクにある教会の扉に掲示した。これが筆写によって各地に伝えら…

No. 235 憲法の声(その2) マルティン・ルターの信仰

2.マルティン・ルターの信仰 宗教改革と言えば堕落したカトリックに対し、ルターが反旗を翻した所から始まった。そうお考えの方が多いのではないでしょうか。そう説明している文献もありますが、実際にはそう簡単なものではなかった。その説明をする前に、…

No. 234 憲法の声(その1) 宗教改革の時代

私の愛する日本国憲法に対し、「あれはGHQが1週間で作ったものだ」という批判があります。しかし、そんな馬鹿なことはありえません。憲法を貫く立憲主義や民主主義という思想は、ひたすら戦争を続けてきた人類の歴史に照らして考えますと、そう簡単に発想さ…

新年のご挨拶と ”情報リテラシー” について

謹んで、初春のお慶びを申し上げます。 さて、昨年末に駅前の蕎麦屋へ行ったのです。年末になるとあちこちのお店が休暇に入り、もう蕎麦屋くらいしか開いている所はなかった。ちょっと空腹気味だった私は「鍋焼きうどん」を注文したのですが、店員さんが怪訝…

憲法の歴史についての仮説

昨日の毎日新聞に、興味深い記事がありました。何やら、ドイツのメルケル首相が本を出したらしい。その本を紹介する記事の中に、次の一文がありました。 「ルター派には、宗教の領域と国家統治の領域を区分し、キリスト教徒は国家秩序に従うべきであるとする…

世界の歴史についての所感

"憲法大好き人間"になってしまった私が、憲法の基本理念である立憲主義や民主主義の起源に興味を持ったのは、自然の成り行きだったのです。一体、どこの誰が、何故、このように素晴らしい思想を発明したのか。また、市民はどのようにして、絶対的な権力を持…

沖縄について思う

12月14日、沖縄の辺野古に土砂が投入されました。ショッキングなニュースで、憤りを感じると共に、悲しく感じたのは、私だけではなかったものと思います。そこで今回は、少し沖縄について考えてみることにしました。まずは、歴史から。 かつて、沖縄本島とそ…

No. 233 憲法パトリオティズム

今更ながら、私は、ほとほと人間が嫌になってしまったのです。競争系のメンタリティを持った序列主義者たち。彼らは、自らの序列を上げるために、格上の者のご機嫌ばかりを伺う。ヒラメ、太鼓持ち、茶坊主、風見鶏。こういった人たちを揶揄する言葉は、枚挙…

パリの反乱者たち

昨日の未明、入管法の改正案が参院で可決されてしまいました。私は、この法案に反対でした。主な理由は、次の3点です。 第1に、外国人労働者が増えれば、日本人労働者の賃金が低下する。政府は、そんなことはないと言っているようですが、需要と供給の関係…

No. 232 集団スケールと憲法

前回の原稿で、「私がここまで勉強した範囲では、平和主義にはあまり長い歴史がなく、第2次世界大戦後に出てきた考えた方ではないか」という趣旨のことを書いてしまいましたが、正確なことが分かりましたので、訂正させていただきます。文献1に、「早くは17…

No. 231 憲法の構成要素(その2)

立憲主義の歴史的な変遷について、文献1は次のように説明しています。 1.絶対王政・・・立憲主義が存在しない状態。 2.制限君主制(=立憲君主制)・・・国王が参加する議会が、立法権を持つ。 3.二元型議員内閣制(18世紀末頃の欧州)・・・国王と議…

No. 230 憲法の構成要素(その1)

そもそも私の疑問は、例えば“絶対王政”と呼ばれる独裁国家が、どのように変遷して今日の日本のような“民主国家”へと変容したのか、ということです。 まず、国家とは何かという問題が生じます。一般に「領土、国民、統治権(主権)が国家の三要素」であると言…

No. 229 憲法の声を聴け

文化領域論に関する公式原稿(通し番号付き)をアップしてから、2か月以上が経過してしまいましたが、勇気を出して(?)、このブログを再開することに致します。 その間も文化領域論については考えておりましたが、特に「文化とメンタリティの領域図」につ…

文化とメンタリティの領域図(Version 2)

寒くなってきましたが、皆様におかれましては、いかがお過ごしでしょうか。 思えば、明日は文化の日。だから、という訳ではありませんが、表題の図を作成してみました。内情を申し上げますと、まず、このブログにはテキストデータと写真しか掲載できません。…

文化領域論の「目次」を作成しました

2018年6月 はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ No. 196 目 次 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ No. 197 第1章: 文化が誕生するプロセス ・・・・・・・・・・・・・・・・・ No. 198 1.記…

憲法改正はいつなのか

一昨日吹き荒れた台風24号の影響か、埼玉県内にある私の自宅周辺では、突然、カラスやハトの姿を見かけなくなりました。暴風に吹き飛ばされてしまったのでしょうか。 さて、文化領域論におきましては、いくつかのメッセージがありました。1つには、自らの環…

No. 228 文化領域論 あとがき

文化領域論をお読みいただきました皆様、どうも有り難うございました。前回の原稿をもちまして、完了と致します。こんな面倒なことを何故、始めてしまったのか、途中、何度も後悔しましたが、なんとかゴールすることができました。 ここに記載しましたことは…

No. 227 第15章: 芸術の「その後」(その2)

小説の種類も相当ありますが、ここではまず純文学を想像系、身体系、記号系の3種類に分類して検討します。 (敬称略) 文学の世界も他の文化と同じように、基本的には神話などの「宗教的な虚構」に始まり、段階を経て「論理的現実」に向かった。その主流を…