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文化で遊ぶ

(旧タイトル:文化の誕生)

No. 39 ノーベル文学賞、ボブ・ディランの受賞について思う

ボブ・ディランの受賞が決まりましたが、私としては、ちょっと残念な気がしています。特段、ディランに恨みがある訳ではありませんし、村上春樹の熱烈なファンという訳でもありませんが・・・。 従来の小説というのは、個人の主体性を前提として、個人と他者…

No. 38 ジョン・レノンが見た夢(その13)

1980年12月8日、ジョンとヨーコはスタジオから自宅のダコタ・ハウスに戻りました。午後10時49分だったと言われています。そして、当時25歳だったマイク・デヴィッド・チャップマンという男がジョンを呼び止めます。ジョンが振り向きざまに、チャップマンは38…

No. 37 ジョン・レノンが見た夢(その12)

ラヴ&ピースのムーブメントは、ベトナム戦争に反対することを目的としていました。そして、1973年、ニクソン大統領がベトナム戦争の終結を宣言すると、目的を失ったラヴ&ピースも急速に衰退していったんですね。そしてメディアはジョンをラヴ&ピースのド…

No. 36 ジョン・レノンが見た夢(その11)

アルバム“イマジン”が発売される少し前、すなわち1971年9月3日、ジョンとヨーコはイギリスを離れ、ニューヨークへ移住します。彼らはニューヨークの自由な雰囲気が気に入ったようです。しかし、自由だったのは彼らが付き合っているアーティストたちだけで、…

No. 35 ジョン・レノンが見た夢(その10)

1970年4月23日、ジョンとヨーコは原初療法を受けるために、ロサンジェルスに渡ります。“ベッド・イン”を敢行するなど、自由に生きていたジョンですが、それはそれで精神的にはかなりきつい面もあったんですね。無理もないかも知れません。自由を体現すればす…

No. 34 ジョン・レノンが見た夢(その9)

“ゲット・バック・セッション”を終えたビートルズですが、この時の映像と録音は、なかなか日の目を見ません。彼らが作ったアップルというレコード会社の経営が混迷していたことと、映像の編集作業に手間取ったことが原因だと思われます。そして、ポールはビ…

No. 33 ジョン・レノンが見た夢(その8)

ジョンとヨーコが行なった“ベッド・イン”には、何とも言えない違和感があります。その理由には、“2項対立”があるように思うのです。まず、彼らは“ベッド・イン”という極めて私的な行為をメディアに公開した。ここに最初の違和感があります。言わばプライバ…

No. 32 ジョン・レノンが見た夢(その7)

人の音楽的な嗜好は、概ね十代の後半辺りで決まるのではないでしょうか。そして、音楽の流行は目まぐるしく変わります。従って、世代が異なると好きな音楽、敬愛するミュージシャンは、著しく異なります。これはもう、そういうものなので、誰の言っているこ…

No. 31 ジョン・レノンが見た夢(その6)

ホワイト・アルバムについて、一つ注意を喚起しておきたいのは、アルバムを締め括る最後の“グッド・ナイト”という曲のことです。皆様は、この曲の作者がジョンだということをご存じだったでしょうか。美しいストリングスとメロディーからして、私は長年ポー…

No. 30 ジョン・レノンが見た夢(その5)

1968年は、ジョンにとってもビートルズにとっても、あまりに多くのことが起こり過ぎた年のようです。 同年2月、ビートルズの一行は、超越的瞑想の導師(グル)であるマハリシに教えを請うため、インドのリシケシュに向かいました。女優のミア・ファローも妹…

No. 29 ジョン・レノンが見た夢(その4)

1966年9月16日、ジョージはラヴィ・シャンカールからシタールのレッスンを受けるため、インドへ渡りました。同年11月9日、ロンドンで開催されていたオノ・ヨーコの個展のプレビューで、ジョンはヨーコと出会います。アトリエの中に脚立があって、そこに登れ…

No. 28 ジョン・レノンが見た夢(その3)

1964年2月7日、ビートルズは初のアメリカ・ツアーに出発します。アメリカでも既にレコードがヒットしており、ツアーは大成功を収めます。同年4月には、ビルボード(アメリカの音楽業界誌)のヒットチャートで、1位から5位までをビートルズの曲が独占したとい…

No. 27 ジョン・レノンが見た夢(その2)

ビートルズのデビューから8か月後、1963年6月7日にローリング・ストーンズが“カム・オン”で、デビューしています。2つの偉大なロック・バンドが相次いでデビューしたのは、決して偶然ではないだろうと思います。当時のイギリスには、そういう土壌というか、…

No. 26 ジョン・レノンが見た夢(その1)

このブログのNo. 24で少し触れたこともあり、どうもジョン・レノンのことが気になって仕方がありません。しかし、なかなかその実像が見えにくい。皮肉好きな不良少年だった彼が、やがてイマジンを歌うまでになる。そこに、どんな物語があったのか、少し彼の…

No. 25 文化は科学に敗北したのか

約2か月にわたって連載してきました“文化の積み木”シリーズは、前回の記事をもちまして、完了とさせていただきます。今どき、写真もないブログにお付き合い頂き、本当に有難うございました。 仮に文化をコップとその中の水に例えますと、“文化の積み木”はコ…

No. 24 ジョン・レノン

宗教の人間観というのは、どうしてネガティブなのでしょうか。キリスト教には、原罪という考え方があって、人は生まれながらにして罪を背負っているというのです。何故でしょう。それは、アダムとイブがリンゴを食べて、自分たちが裸であることに気づいてし…

No. 23 宗教について語ることはタブーか

今、宗教について考えることに、どれだけの意味があるでしょうか。 まず、世界に目を向けると、アメリカの同時多発テロ(2001年)以降、無差別の暴力行為が後を絶ちません。石油に関する利権など、政治的、歴史的な背景もあるのでしょうが、キリスト教とイス…

No. 22 宗教の定義

誤解を避けるためには、主要な言葉の定義を明確にすることが大切だと言っておきながら、このブログでは未だに“宗教”とは何か、定義を定めていません。怠けていた訳ではありませんが、これがなかなか難しい問題なのです。 例えばリチャード・ドーキンスは、「…

No. 21 必然的に生まれた宗教

“文化の積み木”、最後のブロックが“宗教”だと言うと、少し違和感をお持ちになった方もおられることと思います。宗教の後には“国家”ができて、国家間の戦争が始まります。そして、科学が生まれる。但し、科学というのは、あくまでも現実を直視する訳で、人間…

No. 20 宗教の呪縛

日頃、宗教にはあまり関わりを持たない人も多いのではないでしょうか。しかし何かのはずみで、ふと宗教が顔をもたげてくる。人が死んだときとか、結婚式とか七五三などもそうですね。終戦記念日(敗戦記念日)もそうです。毎年、必ず靖国神社の問題が出てき…

No. 19 宗教と幻覚

シャーマニズムと宗教は、区別して考えるべきだと思うのです。結論から言えば、シャーマニズムは無文字社会にその起源がある。そのため、信仰の対象である霊魂や精霊などを裏付ける厳密な物語は存在しません。 一方、宗教は文字の普及と共に発生したものと思…

No. 18 運命に導かれたシャーマンたち

前回まで、トランス状態になることを目指して行われる初期の祭祀について述べてきました。そのような祭祀を繰り返していると、どうしてもトランス状態になりやすい人と、そうでもない人とが出てきます。また、トランス状態になった際に、霊魂の声が明確に聞…

No. 17 祭祀、それは熱狂から始まった(その2)

トランス状態を引き起こしやすい音楽というものは、確実に存在します。打楽器の奏でる激しいリズムに合わせて、人々の精神がシンクロし、やがて陶酔に至る。現代で言えば、それはロック・ミュージックに他なりません。この傾向は、ローリング・ストーンズの…

No. 16 祭祀、それは熱狂から始まった(その1)

先日、“呪術”に関する文献を探しにターミナル駅近くの本屋へ出掛けたときのことでした。バスで20分程の距離です。何気なく見慣れた街並みを見ていると車内放送がありました。「今日は夏祭りがあるので、終点までは行けない。1つ手前のバス停で降りて欲しい…

No. 15 救済手段としての呪術

未開人には、ある共通した心理状態が見られるようです。 まず、マレー人の例ですが、“ラター状態”と呼ばれるものがあるそうです。「この状態は感情が高ぶったり、あるいはただ何かに驚いただけでも、それに続いて発生するのであるが、この状態に陥るとその人…

No. 14 呪術のメカニズム

前回に引き続き、「性と呪術の民族誌」(文献1)に従って、イワム族の例を考えてみたいと思います。彼らは、次のように考えているようです。 ‐ 人は、身体と生霊から成り立っている。‐ 人が生きている間においても、眠っているときや何かに驚いたはずみに、…

No. 13 呪術とは何か

今回は“呪術”に関して、少し体系的に見てみましょう。ここでも、参考になるのは文化人類学です。 第一の類型は、“模倣呪術”と呼ばれるものです。(“類感呪術”、“共感呪術”と呼ばれることもあります。)これは、「実際に期待することがらを真似して似たような…

No. 12 呪術という名の心の世界

前回までの原稿で、私たちの祖先は、様々な自然現象などを理解するために“物語”という仮説を立てた、そして“物語”によって死を乗り越えようとしていたのではないか、というお話をさせていただきました。次は、どうしたのか。今度は、世界に対して、能動的に…

No. 11 物語における”別れ”とは何か(その2)

「遠野物語」に掲載されている“大津波”では、経験がほぼそのままの形で語られていました。今回は、もう少し物語としての脚色がなされている“鶴の恩返し”を取り上げてみたいと思います。 有名な話ですが、簡単にあら筋を振り返ってみましょう。 ある雪の日、…

No. 10 物語における”別れ”とは何か(その1)

典型的な物語の結末は、ハッピーエンドかも知れません。「めでたし、めでたし」とか「そして、おじいさんとおばあさんは末永く、幸せに暮らしました」というパターンです。特に童話の場合は、読者として子供を想定しているので、このパターンが多いのはうな…

No. 9 「桃太郎」を読む

最初にあら筋を振り返ってみましょう。 昔々、おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に出かけます。おばあさんが洗濯をしていると、川上から大きな桃が流れて来ます。おばあさんはこれを家に持ち帰り、おじいさんと一緒に食べようとしますが、桃が…

No. 8 仮説としての物語

言葉を発明し、記憶力と想像力を獲得した私たちの祖先は、霊魂の存在を信じ、埋葬を始めます。そして、様々な自然の中にも霊魂が宿っていると感じていた彼らは、恐れと敬意をもって、注意深く自然を観察していたのだと思います。しかし、彼らには分からない…

「文化の積み木」こぼれ話

はじめに、このブログを読んで頂いております皆さまに、衷心より感謝申し上げます。正に“誕生”したばかりのブログですが、今後とも宜しくお願い致します。 さて、現在、このブログの主眼は“文化の積み木”を完成させることにあります。しかし、時にはその本筋…

No. 7 頭を垂れた人々

言葉を覚え、アニミズムが生まれた頃、人々は親族関係を基盤とした20人程度のグループを作って、移動しながら暮らしていたのだと思います。同じ場所に長くいると食物がなくなってしまうという事情もあったでしょう。ただし、「ゴリラは食物が豊富にあっても…

No. 6 私たちの祖先は戦っていたか

アニミズムが生まれた頃、すなわち、私たちの祖先が狩猟採集のみを生活の糧として生きていた時代のことですが、「当時から、人類は好戦的だった」とする説(以下「好戦説」といいます)と、「当時の人々は平和に暮らしていた」とする説(以下「平和説」とい…

No. 5 言葉からアニミズムへ

前にも述べましたが、私たちの祖先が言葉を獲得したのは、7万年以上前のことです。では、その頃、言葉はどのような変化を人間にもたらしたのでしょうか。 一般に、言葉によって私たちの祖先は、“昨日”と“明日”を認識するようになったと言われています。すな…

No. 4 変容し続ける言葉

時間の流れの中で、言葉が変わっていくことは良く知られています。理由の一つには、より簡略で発音しやすい表現が採用される、ということがあります。例えば、「インターネット」が「ネット」に変わるなど。 言葉が変化し続ける理由について、私は、次のサイ…

No. 3 記号としての言葉

フェルディナン・ド・ソシュールというスイス人(1857年~1913年)が、かつて、記号論という考え方を提示しました。 記号の中で最も重要な役割を果たしているのは“言葉”ですが、それ以外にも図形や音などによって意味を伝える媒体があります。これらを総称し…

No. 2 文化の起源としての言葉

サルが人間になるプロセスとして良く言われる事には、まず、2足歩行があります。当初、我々の祖先は樹上に住んでいた訳ですが、氷河期になり木々は枯れ果て、森がサバンナ(草原)に変わってしまった。そこで我々の祖先は、木の上から草原に降り立ち、2本足…

No. 1 文化とは何か

考え方を論理的に組み立てるためにも、また、誤解を避けるためにも、最初に主要な言葉を定義しておくことは重要です。 “文化”という言葉の定義を巡って、過去にいくつかの論議があったようです。 1871年にイギリスの文化人類学者であるE.タイラーは、文化を…

はじめに

自然科学の急激な進展によって、宇宙や人類について、今日ではいろいろなことが分かってきたようです。 かつて、音も光も、空間や時間さえも存在しない、ある状況がありました。ただ、ある一点に膨大なエネルギーが集中していた。そして、大爆発が起こる。そ…

ブログの説明

文化と人間について考えるブログです。 予備知識は不要です。 誰しも文化から離れて生きることはできません。そうであれば、文化を理解して、文化を楽しむ、文化で遊ぶことが大切なのではないか。最近、そう思うに至りました。学者でもない無名の私がこのブ…