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文化で遊ぶ

(旧タイトル:文化の誕生)

No. 6 私たちの祖先は戦っていたか

アニミズムが生まれた頃、すなわち、私たちの祖先が狩猟採集のみを生活の糧として生きていた時代のことですが、「当時から、人類は好戦的だった」とする説(以下「好戦説」といいます)と、「当時の人々は平和に暮らしていた」とする説(以下「平和説」といいます)とがあります。

好戦説の根拠は、主にチンパンジーの観察結果に基づいています。チンパンジーのオスのグループは、自分たちよりも数の少ないグループや、単独で行動しているオスを見かけると、残酷な方法で殺してしまうという事例が報告されているのです。(文献1)だから、私たち人間の祖先も同じだったのだろう、ということです。

一方、平和説は、次のように説明しています。チンパンジーは縄張りを持っていたので、それを守ったり拡張したりするために戦う。また、縄張りを持つ種は、すべて単層の社会である。(ひとつの縄張りに、1つのグループ)(文献2)一方、当時の人類、ゲラダヒヒ、ゴリラなどは縄張りを持たず、重層社会を構成し、平和に暮らしていた。また、ゲラダヒヒの集団同士が、平和的に融合する様も観察されている。

加えて、上記の重層社会に関連して、3つの層があったとする説があります。(文献3)この説は、好戦説、平和説の当否について言及してはいません。
大グループ・・・100人~400人
中グループ・・・20人前後
小グループ・・・5人前後(核家族

さて、どちらの説が正しいでしょうか?

好戦説は、上記の縄張り制の問題については、何も主張していません。また、仮に好戦説が正しいとすれば、緩やかな関係性を維持していたと思われる大グループなるものが、存立しえないように思えます。よって、私は、平和説に賛成です。

但し、平和説におきましても、人類が農耕を開始した以降は、縄張りができ、好戦的になったと考えています。確かに、現代においても、国境をめぐる紛争は絶えませんね。

(参考文献)
文献1: 暴力の人類史/スティーブン・ピンカー青土社/2015
文献2: 森林がサルを生んだ 原罪の自然誌/河合雅雄平凡社/1979
文献3: 人類の足跡10万年全史/スティーブ・オッペンハイマー草思社/2007