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文化で遊ぶ

(旧タイトル:文化の誕生)

No. 96 朝鮮半島情勢、プンゲリのバレーボール

表題の件ですが、「北核実験場近くの住民が避難・・・25日前後に実施の可能性」という記事が中央日報から配信され、Yahooに掲載されました。配信は42212:08となっています。“核実験場”とはプンゲリという場所で、少し前に関係者がバレーボールをしていた所です。何か、皮肉を感じます。地下には核実験の設備があって、その上で人間が無邪気にバレーボールをしている。

 

さて、仮に記事の通り、25日前後に核実験が行われた場合のことですが、私は、それでも米軍が直ちに攻撃を仕掛ける可能性は低いと見ています。何しろ、韓国内には米軍の家族の方々が沢山おられる。

 

それにしても、本件に関しては、分からないことがまだ沢山あります。トランプ氏が習近平氏を大変、褒めそやしていますが、その理由が分からないのです。もちろん、言葉を額面通りに受け取ることはできませんし、トランプ氏が習近平氏にプレッシャーを掛けていることは明らかだと思いますが、では、トランプ氏は習近平氏、すなわち中国に一体、何を期待しているのか、という点が分からないのです。中国が北朝鮮に対して掛けることのできる圧力の種類としては、まず、経済制裁があります。北朝鮮からの石炭の輸入を中止する。これは既に実施済みのようですが、効果は小さい。また、中国と北朝鮮を結ぶ飛行機の定期便を休止したようですが、北朝鮮にしてみれば、その程度では痛くも痒くもない。次のステップとして、中国から北朝鮮への原油の輸出を止める、という対策が論議されていますが、これについては、効果が大きいという説と、大して効果はない、という説があるようです。効果が大きいという説の論拠は、原油の供給がストップすれば北朝鮮は車も戦車も動かせなくなる、ということです。一方、大して効果はない、とする説の根拠は、北朝鮮のエネルギー源の大半は石炭であって、原油を止められたからと言って、直ちに困ることはない、ということのようです。私が思うのは、北朝鮮もある程度は原油を備蓄しているでしょうから、中国からの原油の供給を止めたからと言って、直ちに北朝鮮、特にその軍隊が困るということはないと思うのです。その場合に困るのは、むしろ一般の国民の方ではないでしょうか。従って、長期的に見れば原油の供給ストップは効果が大きいものの、短期的には北朝鮮の軍隊に対する影響は、あまり大きくはないと思うのです。

 

まして、仮に中国が原油の供給をストップした場合、それ以上の経済制裁は打てなくなってしまう。つまり、北朝鮮と交渉する上での、最後のカードを切ってしまうことになる。それでも、トランプ氏があれだけ習近平氏を褒めるというのは、それ以外の手段が中国に残されていると見るべきではないでしょうか。金正恩を中国に亡命させるという方策については、本人が了承する可能性が低く、現実味がない。すると残る手段は、中国による北朝鮮に対する何らかの軍事的圧力、それ位しか思い浮かばないのです。あくまでも仮定の話ですが、仮に中国が金正恩政権を倒し、その後、北朝鮮に傀儡政権を樹立するというシナリオがあれば、それはそれで丸く収まるような気もします。中国にそれだけの覚悟があれば、という条件付きの話ではあるのですが・・・。いずれにせよ、仮に25日前後に北朝鮮が核実験を実施した場合、その後、上記の通り中国主導で事態が進展していくのか、あるいは米国が先制攻撃に向けての準備を加速させるのか、その方向性が見えてくるような気がします。

 

以上が、「どうなると思うか」という話であって、ここから先は「どうあって欲しいか」という事について、若干述べさせていただきます。

 

過去の歴史に照らしてみますと、本件は、特殊な事案だと思うのです。近代以降の戦争の目的を考えてみますと、まず、他国を侵略して植民地にする、というのがありました。このケースでは、相手国から経済的な利益を収奪するんですね。これは、主として欧米諸国が行ってきた戦争です。次に、他国を併合して、その食料なりエネルギー資源を収奪するというのもあります。自国の宗教を普及させる、他の宗教を弾圧するという宗教戦争というのもあったのではないでしょうか。現在のイスラム国(国家ではありませんが)が行っているテロリズムというのも、このカテゴリーに入るかも知れません。また、資本主義と社会主義、すなわちイデオロギーの違いから戦争になったというケースもあるのではないかと思います。ソ連が存在していた時代には、米ソの冷たい戦争と呼ばれていましたが、これはイデオロギーの違いが引き起こしたものだと思います。

 

では、本件はいかがでしょうか。今、問題を引き起こしているのが北朝鮮だとすると、北朝鮮は上記の事例の中で、どれに該当するでしょうか。実は、どれにも該当しない。北朝鮮は、米国を植民地にしたい訳ではなく、米国の資源を欲しがっている訳ではなく、米国に自国の宗教を押し付けたい訳ではなく、米国を社会主義国家にしたい訳でもないんです。それは、米国の側から見ても、同じことが言えます。ただ、両国とも、相手方からの攻撃を怖れている。ただ、それだけの理由だと思うのです。だから本件は、対話によって解決できるはずだと思うのです。いや、そうして欲しいと思うのです。

 

核兵器を生み出したのは、科学です。だから、科学ではその使用を抑制することはできません。その使用を抑制し、平和的な解決を行うこと。それができるのは、人間の知恵だと思うのです。そして、その知恵のことを私は“文化”と呼びたいのです。