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文化で遊ぶ

(旧タイトル:文化の誕生)

No. 97 グローバリズムの終焉

明日(25日)は、北朝鮮軍創設記念日に当たるということで、北朝鮮が核実験またはミサイルの発射実験を行う可能性がある、と言われております。どのようなシナリオが予想されるのか、ネットを中心に専門家のコメントを調べてみましたが、論理的に納得できる説明はありませんでした。詰まるところ、明日、北朝鮮が何らかの行動を起こすのか否か、日本サイドでは誰にも分らない、ということなのでしょう。仮に北朝鮮が何らかの行動を取ったとしても、米軍の家族が韓国から避難したという情報はなく、米軍が北朝鮮に先制攻撃を仕掛ける可能性は、極めて低いと思われます。

 

ただ、前回の記事にも書きましたが、現在、朝鮮半島で発生している問題は、どうも過去の戦争を取り巻く状況とは違う。一体、今、何が起きているのか、その本質を考えてみたいと思います。本論に入る前に、このブログで扱ってきた時代区分に照らし、過去から今日に至るメンタリティと社会制度について、整理をしてみます。

 

無文字社会・・・神話・・・民族主義・・・・・古代

宗教国家・・・・信仰・・・宗教・国家・・・・中世

近代思想・・・・思想・・・イデオロギー・・・近代

ポストモダン・・ルール・・グローバリズム・・現代

 

便宜上、この先は一番右側に記した表記にて、記載させていただきます。

 

簡単に、各時代区分について振り返ってみます。

 

“古代”については、未だ文字や宗教が発生しておらず、人々は、神話(物語)によって、自然現象などを理解していた。各地域において、創世神話なるものが存在し、自らの民族の正当性、優越性などが定義されていた。特定の動物などと民族を結びつけるトーテミズムも、創世神話の一種と考えられるかも知れません。

 

“中世”については、宗教によって人々の精神を統合し、国家という制度を確立していた。日本で言えば、聖徳太子から第2次世界大戦までの時代。この時代に尊重されたメンタリティは、信仰である。

 

“近代”においては、社会主義思想が広く伝わり、ソ連や中国などの社会主義国家が誕生した。この社会主義思想というのは、あくまでも社会制度である訳ですが、あたかも宗教に取って代わったようにも感じます。

 

“現代”については、米国を中心に資本主義経済が支配的な時代であったと思います。近代における欧米諸国の植民地政策などが行き詰まると共に、交通手段、通信手段、情報技術が飛躍的な発展を遂げ、やがて、社会体制の違いを乗り越えて、各国が同じルールで政治や経済を動かしていこうというグローバリズムが誕生します。

 

ソビエト連邦は崩壊し、中国は改革開放路線に伴って、一部、市場原理を取り入れた。そんなこともグローバリズムに拍車を掛けたのだと思いますが、それを主導したのは、もちろん米国だった訳です。グローバリズムを支えたのは、米国主導でけん引された多くのルールだったように思います。国際的に通用するルールがなければ、国際取引は成立しない。日本でも米国からの圧力や時代の趨勢によって、多くの法律が制定されました。製造物責任法個人情報保護法会社法など、いずれの法律も、米国からの影響が色濃く反映されています。そして、国際取引に使用される言語も、英語が主流となった訳です。

 

しかし、グローバリズムは、必ずしも、万人に幸せをもたらした訳ではなかった。なんとなく、どことなく、米国が有利になる仕組みが沢山あったんですね。また、米国には多くのユダヤ人が居住しており、彼らの政治力、投票行動は無視できない。よって、米国はイスラエルを尊重する政策を取り続けてきた訳です。これでは、イスラム教を信条とする諸国は納得できません。

 

そして、2001911日、米国で同時多発テロが勃発します。今にして思えば、米国主導のグローバリズムは、この時から崩壊し始めたように感じます。同時多発テロで数千人の命が奪われ、米国としてはその怒りをどこかに向けざるを得なかった。そこで、イラク大量破壊兵器を持っていると主張して、イラク戦争を始めたのですが、この戦争による米国の被害は、思いの他大きかった。まして、侵略戦争とは違って、この戦争は米国に何も利益をもたらさなかったのではないでしょうか。当然の帰結として、米国内で厭戦気分が広がる。戦争に過大なコストを掛けるのはもう嫌だ、という人たちが増えて来る。そこに追い打ちを掛けるようにして、イスラム国なる戦闘集団が誕生し、イスラム教を基本的な行動原理とすると共に、世界各地でテロ行為を活発化させた。そして、気が付いてみると、米国内の経済は疲弊していた。そこで、トランプ氏が大統領選に立候補し、米国第一主義という内向きな政策を打ち出し、当選した。トランプ大統領の誕生というのは、米国自身による、グローバリズム終結宣言のようなものだったように思います。

 

ここでグローバリズムのストーリーが終われば、まだ良かったと思うのですが、刻一刻と変化を続ける世界情勢は、その歩みを止めなかったということでしょうか。アンチ・グローバリズムの狼煙を上げたのは、イスラム国ばかりではなかった。そう、北朝鮮核戦略というのも、歴史的に見れば、アンチ・グローバリズムという範疇に入るような気がします。

 

米国が主導してきたグローバリズムは、同時多発テロを契機として衰退を始め、今、北朝鮮によって、その終止符が打たれようとしているのではないかと思うのです。このように考えてみますと、今、朝鮮半島で何が起こっているのか、何が起ころうとしているのか、その意味が見えて来るように思うのです。