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文化で遊ぶ

(旧タイトル:文化の誕生)

No. 98 朝鮮半島情勢、切り間違えたカード

 昨日は朝鮮人民軍創建85周年だった訳ですが、大きな事件は起こりませんでした。それはそれで幸いなことではありますが、朝鮮半島の非核化を“達成すべき目標”として設定するならば、全く進展がなかったとも言えます。

 

いろいろ情報を総合して考えますと、これはトランプ氏の誤算だったのではないかと思えて来るのです。私が“推測”する事の成り行きについて、述べてみます。

 

まず、北朝鮮のミサイル発射があり、トランプ氏はこれに焦って原子力空母カールビンソンを派遣すると発表してしまった。その後関係者からヒアリングを行ったところ、北朝鮮との軍事衝突が抱えるリスクの大きさに驚いた。そこで、カールビンソンを南下させ、時間を稼ごうとした。また、中国の習近平氏にこう相談を持ち掛けた。

 

「中国が何もしないのなら、米国が北朝鮮を制圧し、韓国に併合させる。そうなったら、中国も困るだろう。だったら、中国が北朝鮮を制圧すれば良いではないか」。

 

習近平氏も、北朝鮮が韓国に併合されるのは困るので、とりあえず、石炭の輸入をストップした。しかし北朝鮮の反応は、思いの他厳しいものだった。判断を誤れば、北朝鮮の核弾頭が北京に向けられるかも知れない。困り果てた習近平氏は、本件についての平和的解決を主張した。

 

中国が対策を思案している段階で、西側陣営はしきりに中国の役割が大きいと宣伝し、トランプ氏は習近平氏を絶賛したりもした。しかし、中国といえども北朝鮮を軍事的に制圧することが困難であることが分かってくる。

 

以上が、今日までの出来事の本質ではないかと推測する次第です。カールビンソンが朝鮮半島に到着したという情報は、未だにありません。米国としては、到着させたくないのではないか、とさえ思えてきます。カールビンソンが朝鮮半島沖に到着し、何の影響力を行使することもなく米国に帰ってしまった場合、原子力空母が今日まで果たしてきた“相手方に脅威を与える”という機能が低下してしまいます。さて、米国はどうするのでしょうか。トランプ氏は、朝鮮半島問題に関しては切るべきカードを誤ってしまったのではないか。そう思えてなりません。仮に、カールビンソンが日本海で日本、韓国と軍事演習を行った後、そのまま米国に帰還したとしても、驚くには値しません。

 

さて、上記の推測が当たっていたとしたら、ここから我々が学ぶべき教訓は、2つあると思います。1つには、拳を振り上げる時には、予め、その落とし所を考えておけ、ということ。当たり前のことですね。2つ目としては、軍事大国である米国の軍事力をもってしても、北東アジアの小国、北朝鮮の問題を解決するのが困難である、ということだと思います。この点、世界の警察を自認していた米国の凋落という見方もできると思いますが、それよりも核兵器という決して使うことのできない武器によって、戦争が国際紛争の解決手段たりえなくなりつつある、ということではないでしょうか。

 

北朝鮮が核実験を実施する可能性は残されているものの、米国にとってのレッドラインを超えると思われるICBM大陸間弾道ミサイル)の発射実験は、当面、行わないような気がします。北朝鮮は、そうやって時間を稼ぎながら、兵器の開発作業を継続するでしょう。

 

大統領に就任する前、トランプ氏は「ハンバーガーでも食べながら、金正恩と話し合いたい」と述べていたように思います。こうなってみると、それも悪くない選択肢ではないか、と思えてきます。

 

一方、韓国も問題だらけのようです。前大統領は収監され、中国からは経済制裁を受け、北朝鮮の砲撃はソウルに向けられ、にも関わらず左翼の大統領(文氏)が選出されようとしている。言ってみれば、政治も、経済も、安全保障も、全て困難を極めている。ここで、4つの時代区分と、各時代の精神的な支柱ついて、一覧にしてみます。

 

古代・・・民族主義

中世・・・宗教

近代・・・イデオロギー

現代・・・(政治体制としては民主主義)

 

韓国の場合、南北に分断されているので、民族主義を採ることができない。かと言って、国民のマインドを統一できるほどの宗教もない。社会主義イデオロギーは採用していない。徴兵制などもあり、民主主義が成熟しているとまでは言えない。そうなると、それらに代わって、国民のマインドを統合するのは何かと言うと、それが“反日”なのではないかと思うのです。日本が嫌いだ、というその1点において、韓国人はそのアイデンティティを確立している。これはもう、宗教やイデオロギーに匹敵するものなので、話し合いによって解決することは、極めて困難だと思います。