文化で遊ぶ

(旧タイトル:文化の誕生)

No. 123 政治を読み解く7つの対立軸(その2)

2つ目の対立軸は、情報公開 vs 愚民政策 です。政治や行政がどのように行われたのか、その情報を知るのは、国民の権利だと思いますし、これは民主主義の大前提です。多分、このブログをお読みの方の大半が、そんなの当たり前だ、と思われることでしょう。しかし、現実はそうではありません。森友、加計の両案件で、政府や自民党はほとんどの情報の開示を拒否しています。それでも自民党の支持率というのは、40%程度あります。

 

森友学園の場合は、国有地の払い下げの際に約8億円の値引きがなされた訳で、それだけでもうびっくりしてしまった訳ですが、加計学園に支払われる予定の補助金は、96億円です。これはもう、桁が違う。一説によると加計学園側に支払われる補助金の総額は300億円とも400億円とも言われています。これだけの公金が動く訳で、政府側には当然説明責任がある訳ですが、一方的に国会を閉じた。そして、安倍総理がこれからは説明責任を果たしていくと記者会見で述べた訳ですが、確かその日の夜か翌日だったと思うのですが、NHKクローズアップ現代という番組が、萩生田氏のコメントに関する新たな文書を公表した。以後、安倍総理は「説明責任」という言葉を使わなくなったように見受けられます。

 

そもそも説明責任というものは、ロジカルな意思決定と業務執行、それにこの情報公開が加わって、はじめて全うすることができる。どれか一つでも欠けた場合には、合理的な説明というのは成立しないと思います。都議選での惨敗を受けて、自民党側は国会の閉会中審査には応じそうですが、そこで説明責任が果たされるとは、とても思えません。このまま事が進んで8月に文科省が認可を下せば、前述の96億円は今治市が負担することになりそうです。

 

さて、情報公開というのは、「国民の皆さん、政治や行政に興味を持っていただいて結構ですよ。もし、興味のある案件があれば、関係する資料をお見せしましょう」という趣旨だと思うのです。しかし、その反対概念として、「国民の皆さん、できるだけ政治には興味を持たないでください。政治や行政というのは、政治家と官僚が行うので、あなた方はただ従っていればいいのです」というものがある。それが、愚民政策と呼ばれるものです。その発端は、戦後GHQが採用した3S政策だと言われています。三つのS。すなわち、Screen, Sports, Sex。これらを与えておけば、国民は夢中になって、政治には興味を持たないだろう、という政策なんですね。

 

例えば、昨今、安倍総理をして「熟読してください」と言わしめた読売新聞とそのグループですが、この愚民政策に加担してきたような気がしてなりません。まず、読売巨人軍がある。全盛期は、川上、王、長嶋などのスター選手がいて、その人気は凄まじいものでした。昭和の時代には、「巨人、大鵬、玉子焼き」などという言葉までありました。そして、巨人戦が読売系列の日本テレビで放映される。巨人軍の情報は、読売新聞が詳しい訳で、巨人ファンは読売新聞を購読する。読売新聞を購読すると、巨人戦のチケットがもらえたりする。こういうビジネスモデルだったものと思われます。そして読売新聞は、自民党を擁護する立場ですから、そのような情報ばかりを発信する。ここに、政治とスポーツの密接な関係があると思うのです。

 

それは昔の話だろうと思われるかも知れませんが、石原都知事東京マラソンを始めた。その裏でと言っては語弊があるかも知れませんが、本人は週に2~3日しか出勤せず、土壌汚染の心配される豊洲に市場を移転させる計画を進めた。土壌汚染があることは最初から分かっていた訳で、何故、そんなことをしたのか。こちらも一向に説明責任が果たされず、今、裁判になっています。

 

春と夏には高校野球があり、年に6回、奇数月には大相撲が開催され、これらはNHKで放送される。大相撲の場合には、優勝力士に内閣総理大臣杯なるものが授与される。戦後の日本というのは、何か、スポーツ漬けにされてきたような気がしてなりません。そこへもってきて、2020年にオリンピック、パラリンピックを誘致することになりました。当初、石原都知事は「絶対に儲かる」と言っていましたが、実際には、東京都が膨大な赤字を負担することになりそうです。オリンピックの誘致を進めたのも、自民党の重鎮、森喜朗氏でした。これは私の個人的な感想ですが、どうもこのオリンピック誘致と、憲法改正論議がリンクしているような気がしてならない。国民がオリンピックに浮かれている間に、憲法を改正してしまおう。まさか・・・とは思うのですが。

 

スポーツばかりではありません。公営ギャンブルというものもあります。「宝くじ、競馬、競輪、自動車競走(オートレース)、競艇などを総称して、『公営ギャンブル』というが、名目は戦災都市復興や戦後の産業復興という大義名分を掲げていた。事実、地方自治体を潤す仕組みになっていた」。例えば、競輪は昭和23年にGHQが認可した。(文献1)また、競艇は、大物右翼の方が牛耳っていたことが有名です。「お父さん、お母さんを大切にしよう」というテレビCMを打っていた人ですね。現在の仕組みについて私は詳しくありませんが、少なくとも、公営ギャンブルの起源は、政治と密接な関係があったと言えそうです。

 

更に、2020年のオリンピックに向けて、いわゆるカジノ法案なるものが審議されているようです。

 

政権党が意識しているか否かは別として、私の眼には、未だに愚民政策が生きているように見えます。全てのスポーツとギャンブルが悪いと言うつもりはありませんが、これらを少し抑制し、もっと深みのある文化を大切にしていかなければ、日本の民主主義の深化は望めないと思うのです。

 

(参考文献)

文献1: 日本遊戯思想史/増川宏一平凡社/2014