文化で遊ぶ

(旧タイトル:文化の誕生)

No. 128 政治を読み解く7つの対立軸(その7)

戦前の国家神道体制への回帰を目指すタカ派の方々ですが、私の推測ではありますが、純粋な方も結構、多くいらっしゃるのではないか。ただ、私としては、彼らが安倍政権のことをどのようにお考えになっているのか、疑問があります。一部の大企業だけが活躍できるグローバリズム規制緩和と弱肉強食の新自由主義。これらの政策が、私たち日本人がこよなく愛してきた日本の田園風景を壊しつつある現状。更には、加計学園の疑惑。日本という国家とその国民の行く先を憂いている。それは、タカ派の方々も私も同じではないか。

 

ところで、私は日米安全保障条約を否定しませんし、核兵器を持たない日本がアメリカの核の傘に入るという選択は、間違っていないと思います。しかし、あまりにアメリカ側に寄り過ぎるのもいかがなものか、という不安があります。

 

しばらく前に、アメリカの政府高官がこう言っていました。「北朝鮮ICBM の開発に成功した場合、日米安保の効力は弱まる可能性がある」。すなわち、アメリカ本土に届くような核兵器北朝鮮が持った場合、本土攻撃を受けるリスクを侵してまでアメリカが日本を守るのか、不透明である。という意味です。そして、どうやら北朝鮮は、既にICBM を持ってしまった。それが、現実なんです。アメリカは、決して北朝鮮に先制攻撃を加えることはできない。この勝負、もう北朝鮮が勝ったのではないでしょうか。そして、日米安全保障条約というものが、両国間の信頼に基づく強固な絆ではなく、パワーバランスによって変動し得る頼りないものだとしたら、日本もそれなりの戦略をもって、世界情勢に対処するしかない。もっと具体的に言いますと、中国との関係もそれなりに維持、改善しておいた方が良いのではないか。先般開催されたG20で、安倍総理習近平氏に対し、北朝鮮への原油輸出をストップさせるよう働き掛け、習近平氏から無視されたとの情報もありました。アメリカに加担して、そこまで突出して動くのが、日本にとって本当に得策なのか。

 

国家の安全保障政策について、法哲学を専門とする井上達夫氏が分かりやすい話をされておりましたので、紹介致します。以下の記述は、井上氏のシンポジウム(YouTubeで公開されています)での発言を私がメモったものです。

 

1.非武装中立

2.武装中立

3.個別的自衛権

4.国連決議に基づく集団的自衛権

5.集団的自衛権

 

さて、あなたは何番までだったら許されると思いますか? 

 

日本国憲法9条2項は、明確に1番の非武装中立を定めています。武力は持たない。反撃もしない。これは、無抵抗主義なんですね。理念としては素晴らしいと思いますが、現実問題として、座して死を待つのか。どこかの国から攻めてこられたら、最低限、それに対抗する自衛権は認められるべきではないか。これが、個別的自衛権ということになります。しかし、国際貢献という問題もある。50歩譲って、そこまでは認めても良いのではないか。これは、国連での決議が条件となります。よって、そこに参加する国のエゴイズムは、一応、排除される。いや、そんなことはない、国連なんていい加減なものだ、というご意見も聞こえてきそうです。確かに、そうですね。国連っていうのは、単なる幻想で、実際には大した力は持っていない。少し前、トランプ大統領は国連に対する寄付金を中止したいと言っていたような記憶があります。しかし、そんな時期だからこそ、誰かが支えなければなくなってしまいそうな弱い存在だからこそ、日本がこれを支持していくことに意義があるように思います。前述の井上達夫氏に加え、小沢一郎氏も同じ考えのようです。

 

現実には、憲法では1番しか認めていないにも関わらず、解釈改憲によって、日本は5番までできることになってしまった。9条をめぐる憲法問題の核心が、ここにあるのだと思います。こんなこと、許されていいはずがありません。これでは、日本は立憲国家とは言えません。

 

9条を守れ、と言っている護憲派の人たちは、本当に無抵抗主義でいいと思っているのでしょうか。本音では、日本が第三国から侵略を受けた場合、自衛隊に守ってもらいたいと思っているのではないでしょうか。だとしたら、9条を守れという主張は、欺瞞でしかありません。

 

いずれにせよ、9条の問題は、安倍政権が言うように3項を加えて自衛隊を合憲化するとか、そんなに簡単なことではありません。安倍政権は信用できないので、少なくとも安倍政権には憲法を変えさせるな、という意見があります。私も、この意見には賛成です。安倍政権ではなく、もっと信頼できる政権ができたら、日本は直ちに国民的なレベルで、憲法論議を始めた方が良い。そして、3番の個別的自衛権までにするのか、4番の国連決議に基づく集団的自衛権までにするのか、国民投票を行って、憲法を改正する。そして、日本に立憲国家、法治国家としての誇りを取り戻させる。加えて、アメリカに依存し過ぎない、日本独自の安全保障戦略を確立する。そういうことが、必要なのだと思います。よって、私はハト派を自認してはおりますが、同時に立憲主義を支持する改憲派でもあることになります。

 

参考; 緊急対談「井上達夫小沢一郎 憲法、そして民主政治を語る」 YouTube