文化で遊ぶ

(旧タイトル:文化の誕生)

No. 145 対米従属と憲法9条(その3)

1つ重要な前提条件を書き洩らしていました。それは、日米安全保障条約のことです。私は、これを否定するものではありません。昨今、この条約まで否定して、日本が核武装すべきだ、というような論議もない訳ではありませんが、私は、こういった考え方には反対です。私が日本の独立と言っているのは、日本にある134もの米軍基地のうち、沖縄の1か所位は減らせ、日米地位協定は改定しろ、官僚が勝手にやっている日米合同委員会は中止しろ、密約があるのであればその内容を開示しろ、日本は核兵器禁止条約に参加しろ、ということです。

 

さて、前回の記事で重武装中立論も徴兵制も現実的ではない、ということを述べました。しかし、冷静に考えてみますと、日本の独立というのは、そう難しいことではないと思うのです。私たち日本人がそう望んで、それを選挙の投票行動で示せば、実現可能であるということを述べたいと思います。

 

まずは、漠然とした不安感を理性の力で克服する必要がある。アメリカに逆らおうものなら、とんでもない目に合わされる。多くの日本人はなんとなく、漠然と、そう思っている。原爆を投下された記憶が、日本人という集団の深層心理として、今も作用している。これは、無理もないことだと思います。元来、人間というのは、恐怖心を過剰に持つ動物なのかも知れません。例えば、中国の万里の長城は、秦の始皇帝が北方の異民族が攻めてくるのを怖れて、作らせたものだと言われています。人類史に残るあの巨大な建造物は、人間の恐怖心の大きさを示している。しかし、その恐怖心を乗り越えなければ、私たちの文化は進化の歩みを止めてしまう。

 

日本が武力攻撃を受けたとします。さて、あなたはどの国から攻められたと想像するでしょうか。可能性があるのは、せいぜい、北朝鮮、ロシア、中国の3か国ではないでしょうか。してみると、この3か国からさえ攻撃を受けないようにすれば、日本の安全は保たれることになります。まずロシアですが、これは現在北方領土で共同事業を行う計画も進んでおり、懸念対象国から除外しても良いかも知れません。ロシアが欲しがっているのは、日本からの経済援助、技術援助であって、日本の領土ではないと思います。次に北朝鮮ですが、これは日本に米軍基地があるから、巻き込まれるリスクがあるのであって、北朝鮮には日本自体を攻撃する合理的な理由がありません。日本の領土の上空をミサイルが通過したとは言え、北朝鮮は通過する日本の国土の距離を最小に留めるため、津軽海峡の辺りを狙ってミサイルを飛ばしたものと思います。もちろん、北海道や青森県の方々にとっては、まったくもって迷惑な話だとは思いますが・・・。北朝鮮問題が今後、どのように進展するのか、それは私にも分かりません。来月、トランプ大統領が習近平氏と会談する予定があるそうですが、あるいはそこで中国の了解を取り付け、その後、アメリカが先制攻撃を仕掛ける可能性も否定できない状況だと思われます。しかし、北朝鮮に対立する第一の当事者はアメリカであって、第二は韓国。日本は、巻き込まれてしまう危険性のある部外者です。その証拠に、現在も米韓合同軍事演習が行われていますが、日本はこれに参加していません。それにも関わらず、国連北朝鮮に対する圧力の強化ばかりを主張した安倍総理の態度は、アメリカのご機嫌取りとしては効果があったものと思いますが、反面、我々日本国民が抱えるリスクを高めたのではないか。

 

残るは、中国ですね。中国では、臨海部で経済発展が進んでいますが、内陸部は未だ貧困状態にあります。この格差を解消するのが、中国の課題だと思われますが、そうするためには、食料とエネルギーが足りないのではないでしょうか。何しろ、人口の多い国ですから、国民生活の底上げが図られた場合、そこで消費される資源も膨大な量となる。そこで、中国は海洋資源に注目している。ここでの権益を拡大しようと試みている。そこで、南沙諸島に人工島を作ったり、日本の尖閣諸島を脅かしたりしているように思います。このように考えますと、中国には、日本の尖閣諸島を侵略する経済的な理由がある。逆に言えば、北朝鮮の問題を除外しますと、日本は中国から尖閣諸島さえ防衛できれば、国の安全を確保できる。このように考えますと、ちょっと安心できませんか?

 

前回の原稿でちょっと引用させていただきました憲法学者長谷部恭男氏の本は、次のように締め括られています。

 

「いつまでも域内の諸民族を力ずくで抑圧する前近代的な帝国の支配が継続することはないと見た方がよいでしょう。いずれ中国もリベラル・デモクラシーへと変容するはずです。その日まで、自由で民主的な政治体制の下での私たちの暮らしをどう守っていくか。それを冷静に考える必要があります。」

 

これは、私の「文化は必ず良い方向に進化する」という“文化進化論”とでも呼ぶべき考え方に合致しています。こういう文章に出会うと、ちょっと嬉しくなってしまいます。

 

ところで、立憲民主党を立ち上げた枝野幸男氏ですが、すっかり全国区で有名になってしまいました。実は私、昔から近所の駅で演説している枝野氏を何度か見掛けたことがあるのです。大概、聴衆は誰もいませんでした。誰も聞いていないのですが、それでも一生懸命何かを訴えていた枝野氏の姿が思い出されます。それにしても、人間の運命というのは分かりません。ご案内の通り、枝野氏は前回の民進党代表戦に出馬し、善戦はしたものの前原氏に敗れてしまいました。その直後に、民進党の両院議員総会で前原氏の提案が可決され、原則的には全員が希望の党へ合流することになった訳ですが、その後、小池氏の“排除”発言があります。枝野氏にしてみれば、踏んだり蹴ったり、という状況だったはずです。ところが、10月2日に会見を開き、翌3日に立憲民主党を立ち上げると、そこから一気に流れが変わった。今、立憲民主党に風が吹いているようですが、それは天下国家を論ずることのできる枝野氏の視野の広さ、今日までの努力に負っているところが大きいのではないでしょうか。

 

そんな枝野氏ですが、立憲民主党を立ち上げた9日後(12日)には、沖縄に飛んで演説しています。そこで、こんなことを言っていました。

 

「沖縄の基地の問題は、決して簡単に解決できる課題ではない。しかし、今後、ゼロから検証したい。日米地位協定の改定にも、全力で取り組みたい。何事も、チャレンジしなければ変わらない。アメリカにも沖縄への基地の固定化にこだわらない人たちがいるのではないか。アメリカだって民主主義の国だ!」

 

日本人が漠然とした不安感を克服し、枝野氏のような政治家なり政党に投票すれば、日本は必ずアメリカから独立できると思います。