文化認識論

(世界を記述する。Since Oct. 2019)

No. 168 人口知能と文化(その1)

 

記号ということを考えておりますと、その現代的な意義は“人口知能”にあることに気付かされます。YouTubeなどで検索しておりますと、驚くべき話が次々に出て来る。例えば、人口知能の専門家がこんな話をしていました。

 

「表象というのは哲学において発生した考え方である。人間は複雑な概念については、その実体を凝縮して、あるイメージで捉える。このイメージが表象であり、表象を更に単純化したものがシンボルである。」

 

こういう話であれば、文科系の私にも良く分かります。

 

ところで、昨今、人口知能とかAIという言葉をよく聞くようになりました。あるシンクタンクが「今後、10年ないし20年の間に、現在人間が行っている仕事の半分は、人口知能に取って代わられるだろう」という予想を発表したのが、事の発端だったような気がします。私たちによって人口知能は、最早、他人事では済まされなくなった。

 

どうやら“人口知能”という用語に厳密な定義はないようです。最先端のコンピュータ技術、程度の意味で考えておけば良さそうです。人口知能が人間の脳の働きを行うとすれば、体の機能はロボットが担当します。面白いので、様々な画像を見ました。現在、世界中の大学や研究所が血眼になってロボットを開発しています。ふと気づいたのですが、それらのロボットの大半が、動物や昆虫を模倣している。ヒト型ロボットのヒューマノイドというのもありますが、その他にも犬、チーター、カンガルー、鳥、蝶、トンボ、アリなどの形状や機能を真似ているんです。現代に至ってもなお、人間はなんとか動物を真似しようとしている。これは、古代人と同じですね。

 

私の印象ですが、特定の目的をもって製造されたロボットというのは、かなりの水準になっている。例えば、工場で特定の作業を行うロボットの精度というのは、既に人間を超えているかも知れません。しかし、まだ人間にはロボットの使い道というのが、よくは分かっていない。今はまだ手探りの段階で、様々な可能性を試している。そんな気がします。それはあたかも、人間がロボットで遊んでいるように見えます。遊びながら、その使い道を考えている。

 

ロボットの究極の形というのは、何種類かあるのだと思いますが、その最たるものは“人間そっくりのロボット”ということだと思います。但しこの点、現在のロボット技術には、相当課題がありそうです。例えば、言語能力。誰でも、ロボットと会話してみたいと思う。そうできれば、楽しいに違いない。確かに現在のロボットは、簡単な音声認識、画像認識はできるようですが、人間に比べれば、まだまだ低水準だと言わざるを得ません。例えば、人間の子供であれば、リンゴという果物を実際に見ている。そして、これをリンゴというんだ、ということで言葉を覚えていく。他方、ロボットにはリンゴという果物が何なのか、その概念がない。従って、実体を教えた上で、リンゴという言葉を覚えさせる必要がある。そんなところにも、難しさがあるようです。また、会話を成立させるためには、一般常識が前提となってくる。しかし、この一般常識を人工知能に記憶させるのが、相当、大変なようです。従って、私たちがロボットと会話を楽しめる日は、まだ、大分先になりそうです。

 

ロボットも使い方一つで、その意味が違ってきます。いわゆる3K(汚い、キツイ、危険)の仕事をロボットがやってくれるのであれば、これは大助かりです。家事ロボット、介護ロボットなども歓迎です。しかし、ロボットが兵器に使用される可能性もある。と言いますか、既に先端的なミサイルは敵のレーダーに捕捉されないよう、低空を飛行し、予めプログラミングされた目標に向かって、確実に飛んでいくそうです。これを人工知能と呼ぶかどうかは別として、既に、先端的なコンピュータ技術が兵器に使用されていると考えていいでしょう。人類は、核兵器の開発を止めることができなかった。クラスター爆弾のような非人道的な兵器も使用されてきた。いつか、ロボットも戦争に利用されるようになると思います。しかし、敵国がロボットで攻撃してきた場合、これを防御するのもロボットということになりはしないか。すると、ロボット同士が人間を代理して戦争を行うことになる。してみると、戦争とは一体何なのか、という疑問も沸いてくる。そんな時代になるかも知れません。

 

クルマの自動走行の研究が進んでいますが、その際などに用いられている技術で、ディープラーニングというものがある。例えば、ブロック崩しなど、昔のテレビゲームを人工知能にやらせる。最初は下手なんですが、これを延々2時間もやらせると、いつの間にか上達している。すなわち、放っておいても、人口知能が自分で勝手に学習するというシステムが、このディープラーニングなんです。クルマを自動走行させる際、どうやって危険を回避させるか、個々の事例を人工知能に教え込ませるのは大変だ。であれば、実際に走りながら、人口知能が自ら学んでいくというシステムの方が、手っ取り早い。そこで、上記のゲームと同じように人工知能に“意味”を与える。例えば、どこにも衝突せずに走れたらポイントを獲得し、衝突した場合には減点する。すると、人口知能が危険を回避する方法を自ら学習していくんだそうです。何か、大変な時代がやってきそうな予感がします。