文化認識論

(世界を記述する。Since July 2016)

No. 174 長野県白馬村の写真

写真というのは、確かに大変な力を持っている。例えば、言葉で「その日は雲一つない晴天で」などと言われても、本当だろうかという気がします。しかし、例えば、次の写真をご覧いただければ、全てをご了解いただけると思うのです。

 

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撮影場所は長野県白馬村で、そこに八方尾根というスキー場があります。撮影日は、2015年10月15日。スキーシーズンは、まだ始まっていません。撮影者は私で、使用カメラは、どこにでも売っているような1万円程度の安物です。それでも、これだけの画像を記録できる所が凄いような気もします。ちなみにこのカメラ、未だに壊れていません。

 

さて、リフト小屋に五輪のマークが付いていますね。これは以前、長野県で冬季オリンピックが開催された時のものだと思われます。もう色褪せていますが、それはそれで風情があります。中央に老夫婦が写っていますが、微妙に距離を置き、2人が見ている方向も少し違うようです。そこら辺が、絵になる。いえ、写真になると思うのです。これが若いカップルで手でもつないでいようものなら、私はシャッターを押さなかった。ヴラマンクの絵に出てきそうなカップルだと思うのですが、いかがでしょうか。

 

人は、心の中に理想的な風景などのイメージを持っていて、そのイメージを現実に追い求めて、旅に出る。そのイメージというのは、子供の頃に実際に見た風景であったり、何かの写真で見た場所だったりするのだと思います。写真に写っている老夫婦のどちらか一方の方が、このような山の風景を心の中にイメージとして、持っておられたのではないか。そして、この場所へやって来た。そんな気がするのです。