文化領域論

(No.196 ~ No.228)

ガボンの木彫り人形

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ゴーギャンに影響を与えたと言われているペルーの古代陶器。石ころやブロンズ像。そんなものに興味を持ち始めた私は、何とか、触れることのできる物を手元に置いておきたい。そう切に願うようになったのでした。

 

すると、毎日のようにクルマで走っている道すがら、マライカ・バザールという店が気になり始めた。看板には「エスニック雑貨」とあり、店頭には衣類が並んでいる。一体、何の店なのかよく分からない。でも、気になるので覗いてみたのです。店内には、無数の雑貨類が並んでいて、まるでおもちゃ箱のような印象でした。

 

例えば、象をあしらった小物がある。タグを見ると、GODと書いてある。これはインドの神様ですね。やはり、宗教の起源は動物信仰にあった、などと思いながら進んで行くと、階段に出くわす。一瞬、階上は事務所になっているのだろうかと思ったのですが、そうでもなさそうです。探検をするような気分で登って行くと、階段の途中にも様々な木彫り細工が置かれている。それらに圧倒されながらも2階へ到着すると、階下同様、沢山の雑貨類が無造作に置かれている。その一角で見つけたのが、上の写真の木彫りです。見た瞬間、私は「原始芸術だ」と思ったのです。

 

不思議な顔つき。雑な作り。くるぶしから下の巨大さ。この点は、ゴーギャンの作品「かぐわしき大地」と似ている。極端な省略と、大胆なデフォルメ。とても文明人に作れるものではない。もっと洗練された伝統工芸品は、他にも沢山あったのですが、私の興味を引き付けたのは、これだったのです。ちなみに、値段は6900円でした。

 

店員さんに原産地を調べてもらったのですが、分からない。本社に問い合わせてくれると言うので、お願いしました。

 

持ち帰って、部屋のテーブルに置いてみる。ちょっと、不気味な感じもします。呪術に使われる人形ではないのか、などと思ったりもします。やはり、芸術と宗教の起源は同じなのでしょうか。

 

木彫り人形と同じポーズを取ってみたのですが、それは不可能であることが分かる。肘の屈折の仕方が逆なんですね。そんな風に、人間の腕は曲がらない。また、人形の頭の上に大きな笠のようなものがあるのですが、これが何か、分からない。パーカーのフードのような気もしますが、それにしては大きすぎる。髪の毛が逆立っているのか。それとも、部族に固有の飾りを模しているのか。(分かる人がおられたら、是非、教えてください。)

 

夕方、お店に電話をすると、運よく先ほど対応してくれた店員さんが出てくれました。
「分かりました! ガボンです!」
彼女はちょっと高揚した声で、そう言います。
ザボン?」
ガボンです! ガボンのクール族が作ったそうです。品数が少なくて、ほとんで出回っていないそうです。」

 

ほとんど、出回っていない。それはそうだろう。21世紀の日本で、こんな人形を買う人なんて、そうはいない。電話を切ってから、そう思ったのでした。かく言う私は、購入したのですが・・・。

 

ガボンという国、皆様はご存知だったでしょうか。ネットで調べてみると、確かにアフリカにそういう国があります。象、ゴリラ、チンパンジーなどが生息しているそうです。クール族に関する記載は見つかりませんでしたが、ガボンには40もの民族が居住しているとのことです。それにしても、この人形、一体、どんな人が作ったのでしょうか。

 

見慣れてくると、少しかわいい感じがしてきました。