文化認識論

(世界を記述する。Since Oct. 2019)

政党の立ち位置(その2)

 仮に、政治家の息子と、大地主の息子と、郵便局長の息子と、漁業権を持つ漁師の息子が集まって、相談したとします。そして、政治家の息子がこう言う。

 

「今のままで、いいんじゃない?」

 

一同が賛成する、多分。何を言いたいかと言えば、既得権を持つ人たちは、今のままでいいと考えるので、意見は簡単に一致する。現状を肯定しようというその1点で、意見が一致する。

 

他方、例えばサラリーマンの息子と、小作農の息子と、シングル・マザーの息子が、すなわち特段の既得権を持たない人たちが集まって何かを相談したとるすると、様々な意見が出てくるに違いない。ああしよう、いや、こうした方がいい、ということになる。

 

上記の原則を日本の政治に当てはめてみると、既得権を持つ人たちの集団が自民党で、既得権を持たない、様々な意見を持つ人たちが、乱立する野党の人々だと言える。だから、民主主義の政治というのは、なかなか進化しないのではないか。事実、安部総理などはおじいちゃんの代から政治家で、当人は3代目である。小泉進次郎氏も世襲で、2代目。自民党には、世襲議員が多い。

 

他方、野党には比較的世襲議員が少なく、かつ、政党が乱立しがちだ。山本太郎氏が新党を立ち上げるそうで、本日の18時から記者会見があるらしい。野党は、なかなかまとまらない。それでは、自民党に勝てない。

 

それにしても私は、今さらながら、特段の既得権を持たない側の人間だったことに気づかされる。そういう人生だったのだ。運転免許証位は持っているが、このように誰でも取得できる資格を既得権とは言わない。

 

話がボヤキになり始めたので、そろそろ本題に入りましょう。

 

私が「おしどりマコ」さんを知ったのは、彼女が立憲民主党参議院候補者になってからのことです。最初は、変わった名前だなあと思ったのですが、これは芸名だった。YouTubeを見ておりますと、彼女の画像が沢山出て来て、以下に記す事項は、YouTubeから得た情報です。

 

彼女は、もともと医療系の大学に通っていた。そして、阪神淡路大震災が起こる。現地に行ってみて彼女は、「今、不足しているのは、医療よりも人々の心を癒すお笑いだ」と思う。そこで彼女はアコーディオンを持って、ピン芸人となる。そんな彼女にひかれたケンさんが猛烈にアタックし、二人は結婚した。二人は夫婦漫才を始め「おしどりマコ、ケン」と名乗り始める。すると、今度は東日本大震災とそれに続く原発事故が起こる。大手のメディアは大丈夫だと繰り返し報道しているが、周囲の有名人やタレントは、東京から避難し始める。これはおかしい、一体何が起こっているのだろう。そう思った彼女は、東電の記者会見に参加し始める。

 

何の基礎知識も持たなかった彼女は、自力で勉強を始める。読んだ本の厚さは、15メートルに達した。当初、多くの記者でごった返していた東電の会見も、徐々に参加者が減る。大手メディアでは、人事異動があるので、顔ぶれが変わる。それは東電も同じで、説明する専門家も代わる。そんななか、マコさんは、アコーディオンを背負って、今も、東電の記者会見に出席し続けている。出席した回数は、500回を超えるそうです。

 

凄くないですか? 彼女の行動力、継続させる意志の強さ、とても真似できない。そんなマコさんに白羽の矢を立てたのが、立憲民主党だった。私は、マコさんが国会で何を語るのか、是非、聞いてみたいと思っています。

 

候補者を含めて、立憲民主党には様々な人たちがいる。LGBTをカミングアウトした人、国連の職員として世界を駆け回ってきた人。いずれの方々にも、共通点がある。それは。組織に拘束されないこと、集団に依存しないこと、既得権に執着しないこと。それが、多様性ということの意味だと思います。自立も自律もした個人が、立憲主義によって国家を形成する。それが、立憲民主党の目標なのではないでしょうか。

 

強者よりも弱者。富める者よりも貧しき者。マジョリティよりもマイノリティに寄り添う。そのようなスタンスで、政治を動かすことができる。夜な夜な考えた枝野氏は、きっとそのことに気づいたのだと思うのです。

 

しかし、弱者やマイノリティに寄り添うことで、何故、票が集まるのか。それは、多くの人々が、実はマイノリティだからではないでしょうか。男と女、性的にノーマルな人とLGBTの人、既婚者と未婚者、金持ちと貧乏人、健常者と身体障害者。人間を区別する基準というのは、無数にある。それら全ての基準において、強者であり、マジョリティであるという人は、実は少ないのではないか。

 

かくして、前原氏と小池百合子氏が引き起こした「希望の党」事件から、多分、日本で最初の「個人」に着目した政党が誕生したのだと思います。但し、同じような動きは、他国でも生じている。例えば、アメリカの民主党には、バーニー・サンダースという人がいる。前回の大統領選では、ヒラリー・クリントンと争って惜敗したようですが、彼も頑張っている。「アメリカの若者が社会主義に傾倒している」という謝った報道もあります。そうではなくて、サンダースも、個人にスポットライトを当てているのです。

 

確か、前回の選挙で、アメリカの下院では民主党共和党に勝ったはずです。ブレグジットで揉めているイギリスだって、労働党が保守党に代わり政権を取る可能性だってある。

 

続く