文化認識論

(世界を記述する。Since Oct. 2019)

政党の立ち位置(その4)

今回は、消費税について考えてみます。

 

そもそも、日本国にお金はないのでしょうか。子や孫の代まで借金を先送りしてはならないとか、赤ん坊まで含めて日本の国民一人当たり800万円の借金があるとか、そういう話というのは、まことしやかに流布されてきました。このままだと、日本の国債が暴落するなんてことを言う人もいます。

 

まず、標準的な状態を考えてみましょう。政府は、国民や企業から税金を徴収して道路や橋を作っていますが、それだけでは資金が足りない場合があります。このような場合、政府は国債と呼ばれる借用書のようなものを発行し、銀行からお金を借ります。これが冒頭述べました、国の借金ということになります。国債を持っている銀行は、利子によって収益をあげることができます。政府も銀行もハッピーな訳です。

 

ところが、例えば民主党政権の時代など、円高が進行し、輸出によって儲けている大企業などの収益は低迷しました。そこで、安倍政権になると金融緩和と呼ばれる政策を実行したのです。

 

ここで、日銀が登場します。日銀は、銀行が持っていた国債を大量に買い上げるのです。銀行は持っていた国債を売る見返りとして、大量の資金を手に入れることになります。そのため、市場には潤沢な資金が流通するので、日本円の価値は相対的に下落し、為替は円安に振れます。円安になるので、輸出を行っている大企業の業績は、向上します。大企業の業績が向上すると、下請け企業が潤ったり、従業員の賃金も上がるはずだった。これをトリクルダウンと言いますが、実際にはそうなりませんでした。昨今の統計不正問題で明らかになりましたが、労働者の実質賃金は下がっているのです。何故かと言うと、消費が冷え込んでいるため、企業は先行きに不安を抱えており、賃上げだとか、投資に資金を回せない。将来の不景気に対応するため、儲けたお金は手元に置いておこうということになります。これが、内部留保と呼ばれるものですね。

 

困った安倍政権は、経団連などに繰り返し賃上げを要請しましたが、企業経営者は、賃上げに応じません。

 

そこで安倍政権が目をつけたのは、金利です。保有していた国債を日銀に売却した銀行には、大量の資金が流れますが、その大半は日銀の当座預金口座に積まれることになります。銀行が日銀に預金を預けているということです。この当座預金口座に積まれているお金に対し、通常は利子がつきます。しかし安倍政権は、マイナス金利を導入した。日銀に預けている銀行の預金というのは、ほおっておくと目減りするという事態が生じたのです。

 

安倍政権が取った金融緩和政策によって、最大の被害を被ったのは、銀行ではないでしょうか。利益をあげるためには、融資をする必要がありますが、借り手が見つからない。見つかったとしても、低金利なので、大して利ざやを稼ぐことができない。そこで、銀行はハイリスク・ハイリターンの金融取引に手を出さざるを得ない。一部の大手銀行では、既にそのような取引で多額の損失を計上しています。疲弊した中小の銀行では、リストラ策として、更なる合併が検討されています。

 

どうすればいいのでしょうか。簡単です。個人消費を上げるための施策を打てばいいのです。政府が公共投資を行うというのも、一つの手段ですが、最も速効性があるのは、消費税の減税です。

 

どこにそんなお金があるんだ、日本は借金大国ではないのか、という声が聞こえてきそうですね。でも、お金はあるのです。

 

少し話を戻しましょう。政府は国債を発行する。これは銀行を経由して、日銀が買い取っています。すなわち、国債の流れというのは・・・

 

政府 → 銀行 → 日銀

 

そして、資金の流れは反対ですので・・・

 

日銀 → 銀行 → 政府

 

ということになります。結局のところ、債務者は政府で、債権者は日銀ということになるのです。では、政府の日銀に対する借金というのは、返済しなければいけないのか。という大問題に行き着くことになります。例えば、100億円の国債が満期日になったとしましょう。仮に日本政府にこれを返済する資金がなかったとしましょう。そうであれば、政府は新たに100億円の国債を発行すれば良いのです。他にも、手段はあるはずです。結局の所、政府の日銀に対する借金というのは、返さなくたっていいのです。

 

この返済しなくても良い日銀に対する借金を除外して考えた場合、政府の財務状況は極めて健全なのです。これは私が勝手に述べている説ではなく、多くの経済学者が、主張している説です。(但し、反対の説を唱えている経済学者もいます。)

 

外資が日本の国債を売りあびせてきたらどうするのか、日本の国債は暴落するのではないか、という話もありますが、その時は日銀が全部買い取ればいいのです。

 

ギリシャのように破綻するのでは、という声もありますが、ギリシャはユーロで借金をしていた。だから、返済できなかったのです。日本の上記の事情とは全く異なります。

 

結局、国債に基づく金融政策というのは、市場における資金量を調節する役割を担っている。デフレになれば、資金量を増やす。インフレを抑制するためには、資金量を減らす。本来は、良くできたシステムなのでしょう。但し、自ずと限界がある訳です。1つには、日本の経済状況が過度なインフレに転じた場合です。また、銀行が保有している国債の量にも限度があると思うのです。新たに国債を発行して、これを銀行、日銀と回していっても、肝心の銀行にしてみれば、政府から買った国債を日銀に売却するだけで、市場における資金量に影響はないからです。既に存在する国債を日銀が購入するから、市場の資金量が増加するのです。この点、あるエコノミストは、まだ2~3千兆円の余力があると言っていました。

 

なお、日本は借金大国なんだ、という説を流布してきたのは誰かと言うと、それは財務省だと言われています。政府は税金を集める。集めた税金をどの省庁にいくら分配するのか、その権限を持っているのが財務省だそうです。従って、自らの権限を維持、強化するために、財務省は常に増税路線を主張する。

 

このように考えますと、消費税をとりあえずは5%に減税せよという「れいわ新選組」の主張には道理がある。一方、8%の据え置きを主張している立憲民主党は、財務省に遠慮していると言わざるを得ない。

 

それにしても消費税、どうなるのでしょうか。10%に引き上げた場合、日本の景気は急落する。3回目の増税延期を決めた場合、財務省は政権に反旗を翻すかも知れません。(安倍政権 + 経産省) 対 財務省 の戦いが水面下で繰り広げられているのだろうと思います。

 

続く