文化認識論

(世界を記述する。Since Oct. 2019)

政党の立ち位置(その5)

前回の話をもう少し、整理してみましょう。

 

金融機関や中央政府を除く経済主体が保有する通貨残高のことをマネーストックと言うそうです。結局、このマネーストックを増やせば、金利の低下、円安圧力が生じ、マネーストックを減らせば、金利の上昇、円高圧力が生まれるということだと思います。マネーストックの量について、個々のケースで考えてみましょう。

 

ケースA; 政府が国債を発行し、銀行がこれを購入する → 銀行の持つ資金量は減少するので、マネーストックに対しても、減少圧力が生ずる。

 

ケースB; 銀行の持つ国債を日銀が購入する(買いオペ) → 銀行の持つ資金量が増加するので、マネーストックに対しても、増加圧力が生ずる。

 

結局、ケースAとケースBをセットで実施した場合、減少した上で増加するので、マネーストックに変動はないことになります。

 

そうではなくて、既存の国債に対し、これを大量に日銀が購入したのが、異次元の金融緩和と呼ばれる昨今の金融政策(買いオペ)だった訳です。銀行には、まだ保有国債が残っているので、買いオペによる更なる金融緩和の余地は残っているものと思われますが、問題の本質は、そこではない。

 

異次元の金融緩和政策の出口戦略がない、というのが最大の問題ではないでしょうか。1つには、資金を低利で調達し、高利で貸し出し、利ざやを稼ぐというのが銀行のメインの収益獲得手段の訳ですが、これだけ金利が下がると、銀行は利益をあげることが困難となっており、相当、疲弊しているものと思われます。更に、理論的にはいずれ銀行の保有する国債も底を突く訳で、どこかの時点で金融緩和政策には限界が来る。しかし、これを止めると金利が上昇に転じ、円高傾向となり、輸出企業の業績は下がり、株価も下落する。外資はそのタイミングを見ていて、株の空売りを仕掛けてくるに違いありません。では、どうすれば良いのか。この出口戦略について、名案があったら教えて欲しいと公言している専門家もいます。

 

問題は更に複雑で、安倍政権に肩入れしている日銀が、株価を上昇させるために自ら株式を購入していると言うのです。そんなことをしている中央銀行というのは、世界中で日銀だけではないか、という説もあります。資本主義国家において、中央銀行が民間企業の株式を保有するというのは、どういうことなのか。ある日、ある民間企業の株主総会に日銀の職員が登場する。想像したくもありませんが、そんなことになった場合、その民間企業のコーポレート・ガバナンスに悪影響が及ぶリスクがある。

 

厚生年金の資金を運用している団体はGPIFという所だったと記憶していますが、ここも株式に投資をしていて、昨年1年間で14兆円の損失があったそうです。これはもう、他人事ではありません。私の年金は大丈夫なのか!?

 

実体経済の方に目を向けても、明るい話はありません。今、このブログを見ているあなたの端末は、日本製でしょうか? IT技術については、アメリカの企業に加え、中国のファーウェイ、韓国のサムソンなどが先端を走っており、これらに対抗できる日本企業は最早、存在しないと言われています。金融がダメ、電機がダメ、日本企業で世界の舞台に通用するのは、自動車位ではないか、とも言われています。トヨタやホンダには、本当に頑張って欲しい。カルロス・ゴーンの日産は、フランス資本ですし・・・。

 

安倍政権が採用してきた異次元の金融緩和政策、このまま何事も起こらずソフトランディング出来ればいいのですが、資本主義経済においては、周期的にバブルが崩壊する。そして、グローバル化が進んでいる今日において、バブルの崩壊は世界規模で発生する。リーマンショックがそうでした。バブルが崩壊した場合、通常は金利を下げて対応する訳ですが、日本経済においては、金利を下げる余地があまり残っていないのです。

 

話は戻りますが、「日本は借金大国だ」とか「プライマリー・バランスを黒字化させなければいけない」というような話、最近は聞かなくなってきたような気がするのですが、いかがでしょうか。ネット上では、前回の原稿から述べてきました「政府の日銀に対する借金は返さなくて良い」という説の方が、優勢になっているような気がします。

 

やはり、GDPの6割を占めると言われる個人消費を喚起する必要がある。そして、プライマリー・バランスのことは気にせず、ここは政府が公共事業などに積極的に取り組むべきだと思います。加えて、企業の国際競争力を引き上げていく。そういう施策が必要だと思います。万が一、政府が消費税を引き下げたとしても、そこから生まれたお金で、みんなが外国製品を買っているようでは、元も子もないと思うのです。

 

続く