文化認識論

(世界を記述する。Since July 2016)

文化認識論(その21) 5つの文化領域に対する歴史的考察

私がいつも野良猫用の餌を購入しているコンビニですが、閉店するという噂を聞きました。ここがなくなると、困るのです。困るのは私だけではない。野良猫の“花ちゃん”だって、影響を受ける。そこのオーナーさんとは今までも猫談義をする間柄だったので、単刀直入に尋ねてみました。「来月以降のことについては本部と交渉中」とのことでした。それ以上は聞かなかったのですが、事情は概ね想像できます。売上高が問題なのではない。その店は、とても繁盛しているのですから。問題は、24時間営業という業務形態にある。これが過酷な労働につながり、今、多くのオーナーさんたちが苦しんでいる。詳細は、れいわ新選組の三井よしふみさんが、説明しています。

 

そう言えば、最寄りの駅前通りですが、どうも三分の一位の店がシャッターを下ろしている。私の自宅は埼玉なので、都会ではありませんが、そう田舎でもない。しかし、シャッター通りという現実が、もう私の足元まで忍び寄って来ている。

 

福島原発の汚染物質を海か大気中に放出するという話も出ていますが、とんでもない。これはもう地球に対する冒とくだと言わざるを得ません。

 

このように絶望的な話は他にも多々ありますが、それらの問題については、以下のツイッターをご参照ください。全ての記述に賛成という訳ではありませんが、気付かされる点が多いのです。

 

ツイッター ゆきのちゃん
https://twitter.com/t2PrW6hArJWQR5S

 

さて、本題に入ります。

 

人類の歴史と文化やメンタリティについて考えますと、大昔は、物質系と身体系の2種類しかなかったのではないか、と思うのです。男は狩りに出る。そこで、狩猟に用いる道具を発明し、使用し、物質系の文化を築いてきた。反面、女は出産し子育てを担ってきた。子育て中の女は、子供の健康状態に関心を払う。そこで、身体系の文化を築くことになる。すなわち、男性的な物質系の文化と、女性的な身体系の文化とが対立関係にあったのだろうと思うのです。

 

そこで、言葉が登場する。数万年前の話です。言葉は記号の代表選手なので、人類の記号に対する関心は飛躍的に高まったはずです。当然のことながら、男と女は言葉を使って意思疎通を図るようになる。すなわち、言葉が登場したことによって、それまで2項対立の関係にあった2つの文化が融合される。

 

物質系(男性的)- 記号系(言葉) ― 身体系(女性的)

 

言葉は人間の想像力を触発し、やがて口頭伝承による神話、民話、童話などを生み出す。これらは融和的で、動物との親和的な関係性などが表現されます。これが、想像系の文化ということになります。

 

人間が文字を発明する以前の文化形態というのは、上記4つの領域しか持っていなかったのだろうと思います。例えば、文字を持つ前のアイヌの文化は、この4つの領域によって構成されていた。アイヌ文化の起源を表現した「呪術的仮装舞踊劇」という言葉がありますが、これは上記4つの文化領域に分解することができます。

 

呪術的 ・・・ 物質系
仮 装 ・・・ 記号系
舞 踊 ・・・ 身体系
劇   ・・・ 想像系

 

やがて人間は定住し、人間は農耕、牧畜を始める。すると人間は土地を巡って争うようになり、競争系の文化が誕生する。部族、民族、国家などの集団単位で、戦うのが原点だろうと思います。この競争系の文化というのは、支配的で排他的なものです。これは、想像系の対極に位置するものだと思う訳です。すなわち、想像系の文化と競争系の文化というのは、どちらも記号に依拠しながら、対立している。

 

想像系(融和的) - 記号系 - 競争系(排他的)

 

このように考えますと、現在の閉塞した文化状況というのは、記号を中心として、物質系と身体系が融和しつつ、想像系と競争系が対立している。そういう構図にあるように思います。

 

物質系(男性的)- 記号系(言葉) ― 身体系(女性的) ・・・融和

想像系(融和的) - 記号系 - 競争系(排他的)    ・・・対立

 

上のように記してみますと、現代の文化の構成というのは、奇妙なバランスを保っている。バランスしているから、新しいものが生まれないのではないか。現代という時代が「どん詰まり」になっている理由の一つが、ここにあるのでないかと思うのです。

 

このような閉塞状況を打破するためには、以下の方策が考えられます。

 

1. 競争系の文化を排除する。(オリンピックやプロスポーツを止める。勝敗や順位を付けるイベントは廃止する。)
2.第6の文化を発明する。
3.民主主義よりも良い政治システムを発明する。
4.愚かな大衆の認識能力を向上させる。

 

いずれの選択肢も、楽観を許さないものですが・・・。